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[P79-04] 小児開心術後の難治性感染症をいかに早期鎮静化すべきか?
Keywords:難治性感染症、バイオフィルム、抗菌薬耐性
【目的】治療から予防へのパラダイムシフトにより昨今の感染医療対策は飛躍的に普及し、開心術後の感染症発生率も減少した。しかしながらインプラント留置の多い小児開心術後にひとたび重症感染が生じるとバイオフィルム形成や抗菌薬耐性により容易に難治化し、時にインプラント除去を余儀なくされる。そこで当院では生じてしまった術後難治性感染症を『早期に、効果的に、低侵襲で鎮静化する』というコンセプトのもと新たな治療法を行ってきたが、その成績や問題点を後方視的に検討した。【方法】2014年以降小児開心術後に縦隔炎(深部切開創SSIを含む)を生じた5例を対象とした。全例で開心術時にインプラント留置が行われた。手術時年齢中央値10.0ヶ月 (12日~3歳)、体重中央値7.2kg (3.8~13.1)。4例で複数回の開心術の既往があった。原因菌はMRSA4例、MSSA1例。治療法は開心術後縦隔炎の診断後、直ちに創部のドレナージを行い局所閉鎖陰圧療法或いは閉鎖式持続洗浄療法に移行、抗生剤は単剤でなく臓器移行性の良い2~3剤(VCM、RFP、ST等)を早期よりCRP陰性化まで併用使用し、次いで数カ月間経口薬3剤(ST、RFP、CLDM等)による長期内服療法に切換、段階的に漸減中止する治療法とした。【結果】術後平均258 (50~393)日の観察期間内に感染再燃例はなく全例CRPの完全陰性化を維持している。また長期薬物内服に伴う副作用出現を全例認めていない。【結論】当院のバイオフィルム関連感染の早期抑制を目的とした術後難治性感染症に対する新しい治療法は長期抗生剤内服の必要性はあるものの再手術回避や患者のQOLを向上させる傾向にあり概ね満足し得る結果が得られている。今後遠隔期の変遷を更に検証しつつ抗菌薬の耐性化防止につながる新たな治療戦略法として標準化していきたい。