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[P79-05] 重複大動脈弓の索状化した左大動脈弓に対する胸腔鏡下切離術の一例
キーワード:血管輪、重複大動脈弓、胸腔鏡手術
【はじめに】重複大動脈弓を分類する際、Edwardsによる発生学的分類が用いられる。一般的に血管輪は重複大動脈もしくは重複大動脈弓の一部が消失し動脈管や大動脈弓の分枝異常によって形成される。今回、重複大動脈の索状化した左大動脈弓により食道狭窄症状を来した一例を経験したので報告する。【症例】9か月、男児。在胎20週に重複大動脈弓による血管輪と十二指腸閉鎖が疑われ、出生後に診断に至った。日齢1に十二指腸閉鎖に対して根治術を施行した。血管輪は症状がなく経過観察となった。生後5か月頃より哺乳時の咳嗽などの食道狭窄症状を認めるようになり、CTを施行したところ左側大動脈弓は索状物となっており、索状化した左大動脈弓による食道の圧排が考えられたため、胸腔鏡下に索状化した左大動脈弓を切離する方針とした。全身麻酔、右側臥位、右分離肺換気とし、3 Portで内視鏡下に左腕頭動脈と下行大動脈を指標に食道を確認しながら臓側胸膜を剥離し索状化した左大動脈弓を同定した。索状化した左大動脈弓を切離すると、食道の圧排像は解除された。術後に食道症状は消失し、経過良好で術後3日で退院した。【結論】今回、我々は新生児期に重複大動脈弓の診断に至り、経過で索状化した左大動脈弓によって食道症状を来した症例に対して胸腔鏡下切離術にて症状改善を認めた症例を経験した。今後、血管輪を形成する同様の症例に対しても胸腔鏡下手術が施行可能であると考えられた。