第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

IAA/COA、その他

ポスターセッション-外科治療12(P81)
IAA/COA、その他

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
鈴木 保之(弘前大学 医学部 第一外科)

P81-01~P81-05

13:50 〜 14:40

[P81-01] 大動脈縮窄・大動脈弓離断複合に対する二期的修復術

山内 早苗1, 盤井 成光1, 小森 元貴1, 富永 佑児1, 萱谷 太2, 稲村 昇2, 河津 由紀子2, 青木 寿明2, 川田 博昭1 (1.大阪府立母子保健総合医療センター 心臓血管外科, 2.大阪府立母子保健総合医療センター 小児循環器科)

キーワード:大動脈縮窄、大動脈弓離断、両側肺動脈絞扼術

【背景】大動脈縮窄(CoA)・大動脈弓離断(IAA)複合では左室流出路狭窄が少なからず存在する. 一期的修復が困難な場合, 大動脈弓再建 + 肺動脈絞扼術は心機能を悪化させる懸念があるため, 我々は準備手術として両側肺動脈絞扼術(BPAB)を選択している.
【目的】BPABを準備手術とする方針の有用性を検討すること.
【対象と方法】2005年以降にBPABを先行させ, 二期的に二心室修復術(BVR)を行ったCoA・IAA複合 9例. 疾患の内訳はIAA + VSD 5, CoA + VSD 2, IAA + Tassig-Bing奇形 1, IAA + AP window + AVSD 1例. 一期的修復を行わなかった主な理由は, 低体重(2.5kg未満) 5, 大動脈弁狭窄もしくは弁下狭窄(SAS)の再評価待機 4例. これらの治療成績を検討した.
【結果】出生時体重は中央値2.4 (0.7-3.1) kgで, 心エコー検査による左室拡張末期径(LVDd)正常比は103 (64-139) %, 大動脈弁輪径(AVD)正常比は75 (68-121) %, 左室駆出率(LVEF)は 70 (62-84) %, BNPは1639 (233-12000) pg/mlで, 日齢9 (2-12) 日にBPABを行った. BVR前のLVDdは101 (67-122) %で変化はなかったが, AVDは84 (66-138) %に成長を認め, SASの進行はなかった. LVEFは 71 (48-77) %に保たれ, BNPは126 (6-1088) pg/mlに低下した. BPAB後102 (28-298)日, 体重4.1 (2.8-6.7) kgでBVRを行った. IAA + AP window + AVSD (CHARGE症候群合併)の1例を僧帽弁逆流による心不全と肺高血圧で術後68日に失ったが, 他は全例生存退院し, BVR後1.2年 (1ヶ月- 5.2年)の観察期間において遠隔死亡はなく, LVDd 99 (89-123) %, AVD 94 (72-117) %, LVEF 72 (48-88) %, BNP 25 (12-87) pg/mlと良好であった.
【まとめ】一期的修復が困難な大動脈縮窄・大動脈弓離断複合に対し, 両側肺動脈絞扼術は, 心機能を悪化させることなく待機でき, 大動脈弁狭窄もしくは弁下狭窄を再評価後に安全に二心室修復を行うことができる有用な準備手術である.