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[PAL-04[II-OR117-01]] 小児期に心臓移植適応と診断された患者の移植後10年のQOL
キーワード:心臓移植、腎不全、冠動脈病変
(背景)1997年に臓器移植法律が施行され、2010年には15歳未満の小児からの脳死下臓器提供が可能となる法改正が行われたが、未だ国内における15歳未満の小児の心臓移植数は少なく、移植後の管理についても検討すべき点が多い。(目的)小児期に心臓移植が施行された患者の移植後10年のQOLを明らかにする。(方法)1995年から2004年までに当院小児科を受診し、その後心臓移植を受けた13例(渡航11国内2)中、移植後10年以上生存した10例(男4 女6)について診療録から後方視的に検討した。死亡は、移植後急性期死亡2例と他院へ転院し移植後4年で死亡した1例である。(結果)移植時年齢は1から21歳(中央値5歳)で、移植後10年生存率77%(n=13)であった。生存例は、現在14-35 歳(中央値22歳)、移植後11-17年(中央値13年)であった。全例NYHA1度(就労4例 就学6例)で、年齢に応じた社会復帰が可能であった。心機能は心エコ検査による左室短縮率は全例30%以上で保たれており、BNPは100pg/ml未満であった。僧帽弁流入波形 E/A>2.5が7/8例にみられた。血清クレアチニン値1.0以上が3/8例で、経過中拒絶反応に対しステロイドパルスは3/8例に施行された。移植後合併症は、4例(40%)にみられた。1歳時に移植を受けた2例では、3歳と4歳時にEBウイルス持続感染後にリンパ球増殖性疾患(PTLD)を発症し、転院し化学療法により寛解した。1歳時に再移植を受けた14歳の症例は、11歳時から腎機能障害が増悪し、14歳時に生体腎移植を受けた。21歳移植例は、移植後5年に左前下行枝のsqueezingと壁肥厚があり、発作性房室ブロックによる失神発作に対し移植後7年にペースメーカー植え込みを行った。また、強迫神経症が2例にみられた。(まとめ) 小児の心臓移植後10年のQOLは良好であるが、PTLD、移植心冠動脈病変、および腎不全の三大合併症がみられた。精神面でのサポートが必要である。