15:10 〜 17:40
[SEV-01] 新生児期・乳児早期の胸骨正中切開アプローチによる肺動脈形成を伴うBlalock-Taussig shunt術
胸骨正中切開によるBlalock-Taussig shunt(BTS)術は側開胸アプローチと比較して、1.人工心肺の導入が容易、2. 動脈管の処理が可能、3. 次回手術の際にshuntの処理が容易、4. 肺動脈形成が同時に施行可能、5. 開胸による胸郭変形や側湾症を回避できる、などの有利な点があげられる。ファロー四徴症(TOF)、特に肺動脈閉鎖症例(PA)では、動脈管(PDA)流入部に肺動脈狭窄(pulmonary CoA)をしばしば認める。われわれは胸骨正中切開、人工心肺使用下にBTSと同時に肺動脈形成を新生児期・乳児早期に積極的に行ってきた。
【症例1】
日齢20、体重2.7 kgの女児、TOF、PS、PDA、左pulmonary CoA。3D-CTで動脈管入口部に強い狭窄を認めた。胸骨正中切開、3.0mmPTFEグラフトを腕頭動脈に吻合した。人工心肺、常温心拍動下に主肺動脈から狭窄部を越えて左肺動脈末梢まで小弯側を切開、6.0mmPTFE人工血管パッチで拡大、狭窄を解除した。グラフトの遠位側を右肺動脈に吻合した。5ヶ月、5.7kgで、肺動脈弁輪温存にて心内修復術を完了した。
【症例2】
日齢55、体重3.0 kgの女児、TOF、PA、PDA、pulmonary CoA、右鎖骨下動脈起始異常、21-trisomy。胸骨正中切開、3.5mmPTFEグラフトを右総頸動脈に吻合した。人工心肺、常温心拍動下に動脈管を切離、動脈管肺動脈端開口部を切開、8mmPTFE人工血管パッチで狭窄部を拡大した。PTFEグラフト遠位側を右肺動脈に吻合した。4ヶ月、4.4kg時に右室―肺動脈導管(8mm)を施行、11ヶ月、6.4kg時に14mm3弁付心外導管による修復術を完了した。
【総括】左右均等な肺血流維持のためには、新生児・乳児早期に胸骨正中切開による肺動脈形成を伴うBTS術を積極的に行うべきであると考える。
【症例1】
日齢20、体重2.7 kgの女児、TOF、PS、PDA、左pulmonary CoA。3D-CTで動脈管入口部に強い狭窄を認めた。胸骨正中切開、3.0mmPTFEグラフトを腕頭動脈に吻合した。人工心肺、常温心拍動下に主肺動脈から狭窄部を越えて左肺動脈末梢まで小弯側を切開、6.0mmPTFE人工血管パッチで拡大、狭窄を解除した。グラフトの遠位側を右肺動脈に吻合した。5ヶ月、5.7kgで、肺動脈弁輪温存にて心内修復術を完了した。
【症例2】
日齢55、体重3.0 kgの女児、TOF、PA、PDA、pulmonary CoA、右鎖骨下動脈起始異常、21-trisomy。胸骨正中切開、3.5mmPTFEグラフトを右総頸動脈に吻合した。人工心肺、常温心拍動下に動脈管を切離、動脈管肺動脈端開口部を切開、8mmPTFE人工血管パッチで狭窄部を拡大した。PTFEグラフト遠位側を右肺動脈に吻合した。4ヶ月、4.4kg時に右室―肺動脈導管(8mm)を施行、11ヶ月、6.4kg時に14mm3弁付心外導管による修復術を完了した。
【総括】左右均等な肺血流維持のためには、新生児・乳児早期に胸骨正中切開による肺動脈形成を伴うBTS術を積極的に行うべきであると考える。