The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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要望演題

妊娠・出産

要望演題3(YB03)
妊娠・出産

Wed. Jul 6, 2016 5:10 PM - 6:00 PM 第B会場 (天空 センター)

座長:
篠原 徳子(東京女子医科大学心臓病センター 循環器小児科)

YB03-01~YB03-05

5:10 PM - 6:00 PM

[YB03-01] 当院における先天性心疾患術後患者の妊娠出産の現状

杉本 愛, 白石 修一, 文 智勇, 高橋 昌, 土田 正則 (新潟大学大学院 医歯学総合研究科 呼吸循環外科)

Keywords:成人先天性心疾患、先天性心疾患合併妊娠、周産期

【目的】当院における成人先天性心疾患(ACHD)合併妊娠の周産期管理の現状と課題を後方視的に検討する。
【対象と方法】2005/1月-2015/12月に当院で周産期管理を行ったACHD合併妊婦26例/30妊娠を対象とし、診療録から周産期経過を収集した。
【結果】平均妊婦年齢31(20-41)歳。初産15例/15妊娠, 経産11例/15妊娠。疾患は TOF6, PAVSD1, ASD5, VSD3(MR1, MR AR1), DORV2, CoA/VSD1, PS2, PAPVC1, TAPVC1, Cortriatriatum1, iAVSD(MVR)1, PAIVS(BVR)1. 循環器系窓口は心臓外科14、循環器科6、小児科3例。半数が妊娠初期、残り半数が妊娠後期に外来紹介され、外来医の判断で個々に対応した。主な遺残病変はMVR(機械弁)+Af1、PSR+TR+心室性/心房性不整脈6, 心室性不整脈2, AR+MR 2(mild PH1), 軽度PS1, CAVB1。
妊娠前のNYHA分類は2度:2妊娠, 1度:28妊娠。経過中心不全症状の増悪は2例。利尿剤増量1例, 自宅安静/入院管理1例で、いずれも出産後に改善した。1例VPC増加あり出産後に改善した。胸部レントゲン経過(5例)は, CTR(初期:分娩前:産後):52±4:57±2:53±4(p=0.0022), BNP(8例)は40±9:87±45:33±13(p=0.0019)と, 分娩前後で心負荷の増大と改善を認めた。
満期産26/早産4妊娠。経腟分娩23/帝王切開7妊娠(母体適応1:胎児適応6)。心疾患による分娩方法選択は1/26例。硬膜外麻酔下に無痛分娩を試みたが, 子癇発作により緊急帝王切開となった。児の出生体重は平均2938(2090-4042)gで、死産なし。出産に際し循環器系医師が待機したのは、CAVBに対して周産期に一時ペーシングを留置した1例のみ。他、出産時の心血管系イベントを認めなかった。
【結論】ACHD合併女性の周産期経過は概ね問題なかったが、妊娠前NYHA分類1度であっても心不全症状の増悪を見る例があり、遺残病変や合併不整脈の経過に十分注意を払う必要があると考えられた。周産期の診療体制に関しては、今後複数科の連携したチームでの関与が望まれる。