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[YB03-02] 先天性心疾患を有する思春期女性の妊娠・出産についての意識に関する質的研究
キーワード:妊娠・出産、先天性心疾患、思春期
【背景】先天性心疾患をもつ女性の妊娠・出産には医療者からの様々な支援が必要である。しかしそれを受け止める患者自身が将来の妊娠・出産についてどのような意識を持っているか、とくに思春期女性患者の意識に関する研究は、海外を含めても極めて少ない。【目的】効果的な支援を検討するため、思春期女性患者の将来の妊娠・出産への意識を明らかにする。【方法】平成27年6月から12月に東京大学医学部倫理委員会の承認を得て調査を行った。まず先天性心疾患に対して1回以上の手術歴があり、将来妊娠・出産が可能であると医師が判断した15歳から19歳の女性外来患者を小児科データベースから抽出した。これらの候補者に研究説明書を送付し、書面での同意が得られた患者に対して女性看護師が半構造化面接調査を行った。【結果】18名の候補者へ研究説明書を送付し、12名の患者が面接調査に参加した。平均面接時間は60分であった。12名のうち、内服治療中の患者は2名、運動制限がある患者は5名であり、これらの比較的重症な患者は、将来の妊娠・出産に対して、より具体的な不安を示した。将来の自分の妊娠・出産について想像できると答えた7名は、『医師からの妊娠・出産のリスクについての説明を理解しよう』とし、さらに『知識を得たい』という思いが強い傾向を示した。一方で想像つかないと答えた5名は、妊娠・出産のリスクについて『医師から説明されても忘れてしまう』と語った。また、患者の多くは自分の知識不足に対する医療者への「後ろめたさ」を感じており、幼少期から続く保護者-医師間の関係性に入って行けず、主体的に情報を得ることに困難を感じていた。さらにおよそ半数の患者が、妊娠・出産について気軽に相談できる存在を求めていた。【考察】実際の妊娠を迎える前に適切な知識を提供するためには、医師のみならず、看護師を中心とし、多職種によるタイミングを図った介入が必要であると考えられた。