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[YB03-04] 計画的な2度の妊娠分娩前後に血行動態評価を施行したFontan型術後三尖弁閉鎖(Ib)症例:循環管理上の問題点
キーワード:心疾患合併妊娠、フォンタン、チーム診療
【背景】Fontan型術後症例の妊娠出産は報告されるが,血行動態が良好でなければ母体の高リスクとされ,妊娠前の詳細な評価と病状説明が重要である.事前に詳細な血行動態評価を行い,計画的な妊娠により2度の分娩を行ったFontan型術後三尖弁閉鎖症例を報告する.【症例】28歳女性.三尖弁閉鎖(Ib)に対し生後5か月時に左BT 短絡術,4歳時両方向性グレン手術,13歳心外導管TCPCを施行.23歳で結婚し挙児希望あり.妊娠前評価は,NYHAI度,洞調律,LVEF61%(心MRI).心カテーテル検査ではCVP 7mmHg,Rp 0.82 Um2,CI=3.6L/min/m2.aspirin内服管理下で25歳時に1回目自然妊娠.心イベントなく経過し,切迫早産のため無痛分娩にて在胎34週2日,出生体重1946g (AFD)の元気な男児を出産した(出血量1300ml程度).産褥期にhead upによる頻脈,低酸素血症を認めたが,赤血球濃厚液輸血で改善した.造影CT上総腸骨静脈分岐部に血栓(7mm程度)を認めたため抗凝固療法を行った.産褥1か月にMRI上CIの低下が疑われたが,産褥4か月には改善し,心カテではCVP 8mmHg, Rp 0.7Um2,CI=5.7L/min/m2と妊娠前と不変であった.28歳時2回目自然妊娠.切迫徴候は認めなかったが妊娠34週頃から心室性期外収縮(PVC)の増加を認め,36週から無痛分娩+誘発分娩とした.在胎36週2日,出生体重2174g(AFD)の元気な女児を出産した(出血400ml程度).head upによる循環不全症状は認めず,分娩後PVCは減少した.分娩1時間後に一過性の胸痛を認めたため肺塞栓予防を行ったが,造影CTではDVTを認めなかった.その後のMRI,心カテ所見も含めて報告する.【結語】妊娠前後に詳細な血行動態評価を施行して,計画的な2回妊娠分娩が可能であった.Fontan循環への妊娠・分娩負荷の影響は不明なことも多く,母体/胎児/新生児管理を行えるチーム診療体制整備とエビデンスの集積が重要である.