The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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要望演題

川崎病

要望演題4(YB04)
川崎病

Thu. Jul 7, 2016 9:00 AM - 10:20 AM 第B会場 (天空 センター)

座長:
鈴木 啓之(和歌山県立医科大学 小児科)
深澤 隆治(日本医科大学付属病院 小児科)

YB04-01~YB04-08

9:00 AM - 10:20 AM

[YB04-01] 川崎病における6か月未満乳児例の冠動脈病変と要因に関する検討(Post RAISE サブ解析)

宮田 功一1, 福島 直哉1, 高橋 努2, 仲澤 麻紀2, 大熊 喜彰2, 三澤 正弘2, 田口 暢彦2, 山下 行雄2, 込山 修2, 山岸 敬幸2, 三浦 大1 (1.東京都立小児総合医療センター, 2.Post RAISE 研究グループ)

Keywords:川崎病冠動脈病変、6か月未満乳児、Post RAISE

【目的】川崎病の乳児例は冠動脈病変(CAL)の危険因子として知られているが,その要因については明らかではない.川崎病多施設共同前向きコホート研究(Post RAISE)データベースを用い,6か月未満乳児例におけるCALとその要因について調査した.【方法】Post RAISEにおいて2012年7月から2015年5月までに登録,データ収集された1982例の川崎病症例を対象とした.冠動脈径 Z scoreを用いて1か月時点でのCALをカテゴリー分類し,6か月未満と6か月以上で統計解析した.【結果】6か月未満群108例は6か月以上群1874例に比べ,不全型が有意に多かったが(29 vs. 21%, p<0.0001),早期に免疫グロブリン治療(IVIG)が開始され(4.7 vs. 5.1病日, p=0.008),総発熱日数も短い傾向(5.5 vs. 6.2日間, p=0.013)であった.治療前冠動脈Z scoreは有意に小さく(RCA:-0.01 vs. 0.53, LMT:-0.21 vs. 0.53, LAD:-0.37 vs. 0.13, p<0.0001),小林スコアは両群間に差はなく,不応例は多い傾向であったが有意差はなかった(22 vs. 16%, p=0.158).CAL発生率は,全体:21 vs. 5%, 中等瘤: 7 vs. 1%, 巨大瘤: 4 vs. 0.5%, p<0.0001 と6か月未満群において有意に高率であった.ロジスティック回帰分析では,単変量・多変量解析ともに6か月未満が独立した危険因子であった(CAL全体: p<0.0001,OR 5.3, 95%CI 2.90-9.68, 中等瘤: p<0.0001,OR 10.4, 95%CI 3.85-27.87, 巨大瘤: p=0.001,OR 14.0, 95%CI 2.95-66.39)【考察】6か月未満の乳児例ではCALが高率に発生していた.不全型が多かったが,適切な時にIVIGが開始され,治療開始前の重症度や不応例は6か月以上群と同様であった.6か月未満にCALが好発する要因は明らかでなく,血管の脆弱性や,血管炎の症状がわかりづらいことなどが考えられる.CALを抑制するためには,治療強化や反応例でも炎症のくすぶり徴候を見逃さないような観察が必要である.