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[YB04-03] Infliximb(IFX)をthird-line therapyとした川崎病急性期治療プロトコールの治療成績
Keywords:川崎病、急性期治療、インフリキシマブ
【目的】私たちはKDの急性期治療の統一化と予後改善を目的とし、県内病院小児科の多施設共同研究で山梨川崎病プロトコール(YKD)を作成し急性期治療を行ってきた。2006年から山梨大学倫理委員会の認可を得て、IFXをthird-line therapyとした。今年IFXが保健適応として認可されたのを機に、YKDの治療成績を検討した。【方法】YKDを後方視的に集計し、治療効果、副作用の有無、冠動脈病変(CAL)の発生頻度と重症度を評価した。YKDはIVIG 2g/kg投与を2回までとし、追加IVIG不応例にはIFX 5mg/kgを投与した。IFX無効例や除外例には、血漿交換療法を施行した。【対象】2006年7月から2013年6月までにYKDにより治療された計751例(男児404例、女児347例)、生後2ヶ月から12歳(中央値2歳1ヶ月)であった。【結果】YKDでのKD発症率は2013年が人口10万対302.5人で、毎年の発症率、全例の年齢分布は全国調査とほぼ一致した。初回IVIGは553例(73.6%)、追加IVIGは162例(21.6%)で有効だった。追加IVIG不応例は36例(4.8%)で、このうち30例にIFXが投与され22例に有効、8例に無効であった。全体のCAL発生率は一過性拡大 7.98%、regression 1.56%、残存0.1%(中等瘤1例)で、巨大瘤はなかった。追加IVIG不応例では50%に、特にIFX無効例では8例中7例にCALがあった。逆にIFX投与前にCALがなければ、有する場合に比べてIFX有効率は有意に高かった(92.8% vs 56.5%, p<0.05)。問題となる副作用は、特になかった。【まとめ】急性期治療プロトコールとして、YKDは当初の目的を達成していると考えられた。しかしIFX投与時期など今後明らかにすべき課題もあり、さらに検討を重ねていく予定である。