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[YB07-02] 運動・啼泣時に心室性頻拍を呈するLQT3の小児4例
Keywords:不整脈、QT延長症候群、イオンチャネル病
【背景】一般に、LQT3は徐脈時にQT延長傾向となり安静時に心事故を起こすことが知られているが、運動や啼泣による頻拍上昇時の心室性頻拍 (VA)とLQT3との関与についての報告はない。【対象および方法】運動・啼泣時の心拍上昇時にVAを認めた遺伝子検査で確定診断されたLQT3 4例の臨床所見を後方視的検討した。【結果】最終Follow up時の年齢は8.0-17.2 (中央値13.7) 歳。初診時の契機は、新生児期のTorsades de pointes (TdP) 2例、家族歴1例、学校検診1例。症例1は新生児TdP例でメキシチール (Mex)投与中であったが、モニター心電図 (ECG)で啼泣時の心拍数上昇に一致して単形性持続性心室頻拍 (VT) (Coupling interval; CI 220 ms)が再現性をもって出現したためβ遮断薬 (BB)を開始した。8歳時、怠薬あり突然死した。症例2は新生児TdPのためBB開始。経過観察期間中12歳時からホルターECGで野球中に多形性非持続性心室頻拍 (pNSVT) (CI 360 ms)を認めるようになり15歳時からMexを開始した。症例3は症例2の弟。無投薬で新生児期より経過観察していたが、兄と同様にホルターECGで13歳時から野球中にpNSVT (CI 240 ms)を認めた。13歳時、野球中に失神し、BB・Mexを開始した。症例4は学校検診でQT延長を指摘され13歳時に初診となった。 ホルターECGでバスケットボール中にpNSVT (CI 220 ms)を認めBBを開始した。運動負荷試験を4例に施行し全例でQTcが短縮したが、3例で心室性期外収縮が誘発された。BB薬効試験を3例におこないQTc短縮を確認した。【考察・結語】運動中にVA・失神を認めたLQT3の4例を経験した。VT/NSVTの検出には運動負荷ではなくモニター/ホルターECGが有用であった。他の遺伝子型とのCompound mutationである可能性を否定はできないが、LQT3には安静時のみならず運動中にVA・心事故をおこす症例が存在する。