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[YB07-04] RAS/MAPK症候群(LEOPARD症候群・cardio-facio-cutaneous症候群・Costello症候群)に合併する肥大型心筋症の経過、程度における多様性
キーワード:LEOPARD症候群、CFC症候群、Costello症候群
【背景】RAS/MAPKシグナル伝達経路の遺伝子変異を原因とする疾患は臨床的にも類似しておりRAS/MAPK症候群と一括されることも多い.心疾患は肥大型心筋症(HCM)の合併が多いことが知られているがその発症や経過は多様性に富んでいる.【目的】当科で経験した4症例の経過を振り返り合併心疾患の臨床的特性を検討する.【症例1】17歳男児,LEOPARD症候群.新生児期にHOCMと診断された.13歳でPTPN11 Exon13に遺伝子変異を確認し診断確定。左室は全周性に心筋肥厚し,流出路狭窄は高度であるが自覚症状は乏しくNYHA II度程度で経過している.【症例2】2歳女児,CFC症候群.生直後より心雑音あり,弁性肺動脈狭窄と心房中隔欠損を認めた.遺伝子解析でBRAF Exon6に変異が確認された.PSは軽症でASDは自然閉鎖.現在もHCMの所見は認めていない.【症例3】8歳男児,CFC症候群.新生児期の心雑音の精査により,肺動脈弁狭窄と心房中隔欠損を確認.遺伝子解析ではBRAF Exon6に変異が確認された.PSは自然軽快しASDは自然閉鎖.生後8ヶ月より左室流出路中隔に限局した肥厚を認めるようになったが,左室流出路狭窄は生じていない.【症例4】14歳女児,Costello症候群.新生児期より哺乳障害を認め,生後9ヶ月で胃瘻造設.その後精神運動発達遅滞が顕著となり,1歳時の精査でHCM合併を指摘された. 9歳で遺伝子解析を行いHRAS Exon3に変異が確認された.低身長のため3歳から13歳まで成長ホルモンの投与を行ったが投与に伴うHCMの増悪は認められなかった.現在NYHAI度.心エコーで著しい左室全周性の壁肥厚を認めるが流出路狭窄は生じていない.【考察】RAS/MAPK症候群の肥大型心筋症の発症時期,重症度,経過は多様性に富んでいる.高度の流出路狭窄を来しても自覚症状に乏しい場合もあり注意が必要である.