第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

要望演題

重症心不全

要望演題8(YB08)
重症心不全

2016年7月8日(金) 08:50 〜 09:30 第C会場 (オーロラ ウェスト)

座長:
平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)

YB08-01~YB08-04

08:50 〜 09:30

[YB08-01] 小児拡張型心筋症に対する機械的補助循環による左室Reverse Remodelingの検討

松長 由里子, 上野 高義, 平 将生, 小澤 秀登, 金谷 知潤, 奥田 直樹, 戸田 宏一, 倉谷 徹, 澤 芳樹 (大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学)

キーワード:拡張型心筋症、重症心不全、Left Ventricular Reverse Remodeling

小児用補助人工心臓(VAD)の保険収載に伴い今後小児重症心不全治療におけるVADの重要性はますます増加すると考えられるが,絶対的なドナー不足により移植到達までに長期の待機期間を余儀なくされることが予想され,新たな治療方針を考える必要がある.一方で成人症例においてVAD装着後に左心負荷軽減による左室機能の改善(Left Ventricular Reverse Remodeling:LVRR)が報告されているが,小児心筋症では詳細は明らかではない.そこで当院での小児拡張型心筋症(DCM)症例におけるLVAD装着によるLVRRの検討を行った.[対象と方法]2011年1月から2015年12月までにVAD装着を要した18歳未満のDCM患者11例(男児3,女児8,4カ月-16歳)。DeviceはEXCOR6例,Jarvik2000 2例,体外式遠心ポンプ2例,EVAHEART1例であり全例で左室心尖部脱血を行った.手術前と1ヵ月,3ヵ月後の心エコーによるLVDd/Dsの縮小率(%),EF(%)とBNP(pg/dl)の推移,薬物療法 (目標投与量:β遮断薬0.3mg/kg,ACE-I0.2-0.3mg/kg)について検討した.また当院のプロトコールによるLVADオフテストを施行した5例について結果を検討した.[結果]LVDd/Dsの縮小率の平均は1ヵ月で24.4/32.7,3ヵ月で19.8/24.2であり左室は縮小した.EFは1ヵ月で平均17.7,3ヵ月で12.8増加した.BNPの平均は術前2402.8,1ヵ月427.0,3カ月166.2であった.ACE-Iの体重あたりの内服量とLVDd/Dsの縮小率には正の相関を認めた.オフテストを5例に施行したが1例はpumpのweaningのみでPCWP(mmHg)が6から13まで上昇したため中止した.4例はサポート停止可能でPCWPの平均は6.5からoff後に11.0に上昇した.2例はサポート停止時のPCWPの上昇が2以下と軽微であり,他の3例と比較しLVDd/Dsの縮小率は大きい傾向にあった(37.9vs20.5/47.7vs23.8).[まとめ]LVADによる左心負荷軽減とDevice装着後も投薬加療を継続することでLVDd/Dsの縮小を認める症例はLVRRを認める可能性があり,今後はLVAD離脱も含めた治療展開を検討する必要がある.