09:35 〜 10:25
[YB09-01] 完全大血管転位症周術期リスクファクターとしての体肺動脈側副血管鑑別の必要性
キーワード:完全大血管転位、側副血管、周術期合併症
【背景・目的】
完全大血管転位症(TGA)に体肺動脈側副血管(APCA)を合併することは時折認められるが臨床的に問題となることは少ない.我々は周術期に介入を要した4例を経験しその詳細を解析したので報告する.【方法】1998年1月~2015年3月の動脈スイッチ手術(ASO)97例を対象とした.病型はTGA(心室中隔欠損合併なし:IVS)46例,TGA(心室中隔欠損合併:VSD)28例,その他23例(両大血管右室起始(DORV)18例(うちTaussig-Bing奇形(TBA)17例),修正大血管転位(cTGA)4例,TGA,心内膜床欠損1例)であった.
【結果】
97例中介入を要するAPCA合併例は4例で全てTAG/IVS症例であった.うち2例はASO術後に再介入を要した.1例は術後遷延する喀血を認め,造影CTで下行大動脈から右肺に分枝したAPCAを1本認めた.第9病日にコイル塞栓を行い人工呼吸器から離脱した.もう1例はTGA/IVS/valvar PS(bicuspid pulmonary valve)に対するASO症例であった.ASO後1年で進行したneo valvar ASに対する介入を行った.術中PV returnが非常に多くAPCAに対する追加clippingを施行したが,術後の血管造影で下行大動脈及び右鎖骨下動脈からのAPCAが多量に認められた.結果としてvalvar ASはAPCAによる容量負荷に伴う相対的な狭窄であった可能性が高く過大評価と考えられた.TGA/IVS群では術前エコー所見ではP/A size ratioがAPCA合併群で有意に低く,APCA合併群ではPA径が相対的に小さかった.(0.99±0.13 vs 0.76±0.11 p=0.018)
【考察・結語】
APCAを合併し介入を要したものは過去の報告を含め全てTGA/IVS症例であった.近年では術前カテーテル検査を行うことは少なく,術前管理で動脈管を開存させることが多いため心エコーではその存在を疑いづらい.術後の左心不全は通常冠動脈血流を疑うことが多いが,APCAを十分に鑑別に入れておく必要があり,術前の心エコー等でP/A size ratioが低い場合にはCT,カテーテル検査等によるAPCAの検索を行うべきと考える.
完全大血管転位症(TGA)に体肺動脈側副血管(APCA)を合併することは時折認められるが臨床的に問題となることは少ない.我々は周術期に介入を要した4例を経験しその詳細を解析したので報告する.【方法】1998年1月~2015年3月の動脈スイッチ手術(ASO)97例を対象とした.病型はTGA(心室中隔欠損合併なし:IVS)46例,TGA(心室中隔欠損合併:VSD)28例,その他23例(両大血管右室起始(DORV)18例(うちTaussig-Bing奇形(TBA)17例),修正大血管転位(cTGA)4例,TGA,心内膜床欠損1例)であった.
【結果】
97例中介入を要するAPCA合併例は4例で全てTAG/IVS症例であった.うち2例はASO術後に再介入を要した.1例は術後遷延する喀血を認め,造影CTで下行大動脈から右肺に分枝したAPCAを1本認めた.第9病日にコイル塞栓を行い人工呼吸器から離脱した.もう1例はTGA/IVS/valvar PS(bicuspid pulmonary valve)に対するASO症例であった.ASO後1年で進行したneo valvar ASに対する介入を行った.術中PV returnが非常に多くAPCAに対する追加clippingを施行したが,術後の血管造影で下行大動脈及び右鎖骨下動脈からのAPCAが多量に認められた.結果としてvalvar ASはAPCAによる容量負荷に伴う相対的な狭窄であった可能性が高く過大評価と考えられた.TGA/IVS群では術前エコー所見ではP/A size ratioがAPCA合併群で有意に低く,APCA合併群ではPA径が相対的に小さかった.(0.99±0.13 vs 0.76±0.11 p=0.018)
【考察・結語】
APCAを合併し介入を要したものは過去の報告を含め全てTGA/IVS症例であった.近年では術前カテーテル検査を行うことは少なく,術前管理で動脈管を開存させることが多いため心エコーではその存在を疑いづらい.術後の左心不全は通常冠動脈血流を疑うことが多いが,APCAを十分に鑑別に入れておく必要があり,術前の心エコー等でP/A size ratioが低い場合にはCT,カテーテル検査等によるAPCAの検索を行うべきと考える.