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[YB09-05] 主要体肺側副動脈に対する正中統合化治療 ~カテーテル診断と治療の効果~
キーワード:MAPCA、UF、バルーン血管形成術
(背景)肺動脈閉鎖・主要体肺側副動脈(MAPCA)に対し当院では乳児期から積極的に胸骨正中切開による統合化 (unifocalization:UF)の手術介入を行い,その前後で綿密なカテーテル診断と治療を組み合わせ,肺循環の確立,可能な限りの肺区域の獲得,Rastelli到達および予後の改善を促している.(目的)正中から展開する本治療方針の長期的効果を検討する.(方法)2000年以降に当院でUF施行したMAPCA合併44例から単心室例を除いた38例(PAVSD33例,PA/AVSD2例,TOF3例;染色体異常14例)を対象に,初回介入,Rastelli到達率,カテーテル治療についてフォローアップデータを後方視的に検討した.(結果)初回UFは,生後7.5か月(1か月~12.7年),体重6.9(2.7~26.6)kgで施行された.Rastelli到達は31例(82%)で,待機6例,死亡1例で,到達例のRVP/LVP比は0.63(0.31~1.06)であった.カテーテルは術前術後,術中肺動脈造影含め延べ129回であった.UF後5.0年(0.6-15.6)の追跡期間に,カテーテル治療が20症例53病変に126回(バルーン血管形成術(BAP)75回,ステント留置14回,ステント再拡張25回,二重供給のMAPCAに対する塞栓術12回)施行された.BAP16症例42病変で同一病変への再介入は32回,ステント留置8症例14病変で再介入25回,各々平均BAP0.76回,ステント1.92回で,Rastelli到達例のRVP/LVP比は同等であった.3年以上の観察期間で病変部血管径の成長率は超高耐圧バルーン使用10病変例およびステント使用4病変例では,160%vs107%(P<0.05)であった.(考察)ステント留置例は,主に内膜の増成のため,再介入例が多かったが,いずれの病変も開通が維持された.超高耐圧バルーンの使用でより狭窄血管の成長が期待された.(結語)UFおよびカテーテル治療での肺血管床の維持,成長促進により多くの症例でRastelli術到達が可能となった.血管の開通性を維持しRastelli術後もカテーテル治療が行える条件を作ることが治療の継続,よりよい予後につながると思われる.