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[YB11-04] 下半身の酸素需要・供給バランスの観点から見た右側相同心・共通房室弁閉鎖不全症例におけるGlenn術後循環動態の評価
キーワード:right isomerism、Glenn、oxygen demand delivery balance
【背景】重度の共通房室弁閉鎖不全(CAVVR)を伴う右側相同心症例は予後不良である。Glenn(G)術後の血行動態について数学的に解析された文献(Diller et al. Circulation. 2006; 114: 1243-1250など)によると下半身の酸素供給が最大となる体肺血流比(Qp/Qs)は0.5であることが知られている。また、Qp/Qs が0.5±√0.25-{(1-k)・CVO2/CO・CPVO2}の範囲内の時に下半身の酸素供給が酸素需要を上回る。(k: fraction of metabolism of upper body, CVO2: oxygen consumption of whole body, CO: cardiac output, CPVO2: oxygen content of pulmonary vein)すなわち、(1-k)・CVO2/CO・CPVO2の値(X)が0に近いほど安全域が広く、0.25に近いほど下半身の酸素需要・供給バランスが破綻しやすい循環と仮定できる。【目的・方法】当院にてG術まで到達した右側相同心症例連続10例を以下の2群に分けた。A群:G術後のCAVVRが軽度以下のもの(6例)、B群:術後のCAVVRが中等度以上のもの(4例、いずれもG術と同時に弁形成術も施行されている)。以下の項目について比較検討を行った。1. G術施行時の年齢・体重、2. 予後、3. 術後評価カテーテル検査施行時の平均肺動脈圧(mPAP), Qp/Qs, CI、4. X値【結果】1. A群:3-14 (8)*ヶ月、5.2-9.0(6.5)*kg、B群:2-5(4)*ヶ月、3.0-5.0(3.7)*kg 2. A群:全例Fontan(F)術に到達、B群:2例が G術後遠隔死亡、1例がF術後PLEを発症。3. A群:mPAP 9-12(11)*mmHg, Qp/Qs 0.48-0.79(0.62), CI 3.21-5.17(4.35)*L/min/m2、B群:mPAP 13-19(16)*mmHg, Qp/Qs 0.52-0.67(0.64), CI 2.80-3.56(3.20)*L/min/m2 4. A群:0.09-0.14(0.12)*、B群:0.16-0.21(0.21)*(括弧内は中央値、*:p<0.05)【結語】肺の条件なども影響するので一概には言えないが、X値が0.20を超える症例は遠隔死亡かPLEを発症しており、条件の悪いGlenn循環では下半身の酸素需要・供給バランスが予後に影響する可能性が示唆された。