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[YB11-05] 肺動静脈瘻のリスクと治療介入に関する検討
キーワード:肺動静脈瘻、多脾症候群、TCPS
【背景】肺動静脈瘻(PAVF)はチアノーゼの原因として重要だが,その発生についてはhepatic factorの関与も指摘されている.【対象と方法】2003年1月~2015年12月の間に当施設でPAVFと診断した15症例(男9,女6)を対象に,後方視的に検討.PAVFの診断は肺動脈造影で行い,コントラストエコー陽性,SpvO2の低下も全例で確認.【結果】PAVF診断時年齢は5.4±4.5歳(中央値3.6歳,1.3~16.4歳).15症例中,二心室修復適応は1例のみ,診断はPolysplenia, ToF, 胆道閉鎖症で1ヶ月時に葛西手術,10ヶ月時にToF根治術後.2歳時よりdesaturation出現,精査の結果肝肺症候群としての両側PAVFと診断,現在HOT併用のもと肝移植待機中.Fontan型心内修復術適応 14例の主診断の内訳は,HLHS 4例,Polysplenia/SV 3例,SV 3例, Polysplenia/HLHS 2例,Asplenia/SV 1例,PA/Ebstein’s anomaly 1例.PAVF発症のタイミングは,BDG/TCPS後 11例(うち肺動脈への順行性血流を残していたもの2例),TCPC後 3例.前者11例のうち,手術待機中の2例を除く9例に対してTCPCを施行,saturationの上昇とPAVFの改善を認めた.BDG後7.5年を経てTCPCを施行した1例では術前からの両側PAVFが多く残存も,SpO2 60→80%,BNP 800→50pg/mlと改善.BDG/TCPSからTCPC施行までの期間は平均2.8年と長くなる傾向にあった.TCPC施行後にPAVFを発症した3例では,TCPC後にも関わらず,人工導管の肺動脈に対する流入角度,Glenn血流との競合など血行動態上の問題から肺内に肝血流が届きにくい部位が生じ,そこにPAVFを生じていた.3例中1例は軽症にて経過観察,1例は流入角度を工夫した人工導管交換術を施行し著明に改善,1例は現在肝血流均衡化を図る手術待機中である.【結語】BDG/TCPSの状態から時期を逸さずTCPCを行うことがPAVFの予防につながる.また,TCPC後であってもPAVFを生じる可能性を常に念頭に置き,肝血流の左右均衡化に留意する必要があると考えられた.