18:00 〜 19:00
[I-EOP02-06] Fallot四徴症修復手術後の成人の大動脈基部拡大と弾性低下に関する前向きコホート研究(TRANSIT)
キーワード:Fallot四徴, aortopathy, TOF
[ 背景・目的] Fallot 四徴( TOF )修復手術後の成人では,約 15% に大動脈壁の弾性低下による大動脈基部拡大( AD )が合併するといわれている。 AD は,左室機能低下,大動脈弁閉鎖不全,さらに大動脈解離もともなう aortopathy であるが,日本での実態や有効な薬剤は明らかでない。そこで,TOF (肺動脈閉鎖PA/VSDを含む)の診断で修復手術を行った 20 歳以上の成人を対象とした多施設共同前向きコホート研究(TRANSIT )を計画した.今回、登録した 20 症例に関してADについて検討した。 [ 方法 ] 初回検査時における心臓超音波検査による大動脈弁 (Av) 、バルサルバ洞 (Val) 、 ST 接合部径 (STJ) 、上行大動脈径 (aAo) を中央解析にて評価する。 [ 結果 ] 年齢 21 歳 1 か月から 53 歳 5 か月(平均 33 歳 7 か月)の 20 症例。男性1 1 例、女性 9 例。体重 63.3 ± 24.8kg 。 TOF 17 例、 PA/VSD 3 例。 Av 、 Val 、 STJ 、 aAo の計測値 (z value) はそれぞれ、 Av 25.9 ± 3.28mm(z+2.99 ± 1.57) 、 Val 34.4 ± 3.19mm(z+3.19 ± 2.03) 、 STJ 27.3 ± 2.36mm(z+2.36 ± 1.26) 、 aAo 27.8 ± 2.19mm(z+2.19 ± 1.46) 。ValまたはSTJがzスコアで2.0以上の 症例は12例(60%)であった.9例に中等度以上の大動脈弁閉鎖不全が見られたが、 大動脈弁形成術や置換術の施行はなかった。 [ 考察 ] TOF 術後の成人例において、大動脈基部の拡張が見られた。 TRANST の計画では 3 年後に心臓超音波検査を行うことにより、大動脈基部径の拡大率を明らかにすることを目指している。また,副次評価項目として 1 ) AD の合併頻度とリスク因子, 2 )脈波伝播速度(PWV )による大動脈弾性の評価, 3 )内服薬のAD および PWV への影響も検討する予定である。