18:00 〜 19:00
[I-EOP03-02] 先天性冠動脈起始異常の臨床的検討
キーワード:冠動脈起始異常, ALCAPA, AAOCA
【背景】冠動脈起始異常は突然死などの重篤な合併症を引き起こす疾患であるが、無症状のことも多く診断が難しい。【目的】冠動脈起始異常の診断で外科治療を施行した患者の臨床的特徴と転帰を明らかにする。【対象と方法】2013年1月から2016年12月に当院で冠動脈起始異常と診断した6例(男児3例)。診断までの臨床像とその経過について後方視的に検討。【結果】左冠動脈肺動脈起始(Anomalous left coronary artery from the pulmonary artery : ALCAPA)4例、冠動脈対側冠動脈洞起始(Anomalous aortic origin of coronary artery : AAOCA)2例。 ALCAPAは全例、乳児期(1-10ヶ月)に心筋炎/心筋症が疑われ心不全治療が開始。4例中3例は、心エコー・心電図から冠動脈疾患を疑い、心臓カテーテル確定診断し外科治療を施行。1例は、退院後評価カテーテルで診断に至り、左室側壁の心筋梗塞を認め、術後も壁運動低下が残存した。AAOCA2症例は、12歳、14歳で両者共に運動部に所属し、労作時胸痛で受診。12歳例は、心筋症の診断で外来フォロー中に胸痛再燃。造影CT施行し、左冠動脈右冠動脈洞起始-大血管間走行(Inter-arterial course:AAOLCA-IA)の確定診断に至った。14歳例は、入院中の造影CTにて左冠動脈無冠洞起始が判明。トレッドミル運動負荷施行するも陰性で、心臓カテーテル検査中にATP負荷を施行することで虚血を証明し手術適応とした。2症例ともに術後経過は良好。【考察】ALCAPA症例は全例で左側誘導での異常q波、心エコーで前乳頭筋、心内膜のエコー輝度上昇が認められ、診断の一助となりうる。AAOCA症例は運動強度の強くなる思春期頃から症状が出現してくることを考慮し、胸痛原因を精査する必要がある。【結論】冠動脈起始異常の臨床像は様々で、診断に苦慮することも多い。疾患の特徴を念頭におき早期発見、早期治療をする必要がある。