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[I-EOP03-03] CTカルシウムスコアリングによる川崎病冠動脈瘤石灰化の定量評価
キーワード:川崎病冠動脈瘤, 石灰化, CTカルシウムスコア
【背景・目的】川崎病の冠動脈瘤例(An例)では遠隔期の冠動脈石灰化を伴う高度狭窄が問題となる。近年、multi-detector row spiral CT (MDCT)で冠動脈の形態評価が行われているが、強い石灰化はアーチファクトとなり病変周囲の正確な描出を妨げるため石灰化や狭窄の進展評価には適さないとされている。CT calcium scoring(CTCS)は冠動脈石灰化の定量的評価法であり、粥状硬化性冠動脈疾患の予後と密接に関わる。今回我々は川崎病An例に対してCTCSによる冠動脈石灰化の定量的評価を行い、X線透視とCT画像による視覚的な石灰化とその進展とを比較した。【方法】対象は当科で経過を観察している川崎病Anの3例。MDCTはSiemens社SOMATOM Forceを使用し、Agatston CT calcium scoringを行ったのちに冠動脈造影CTを行った。【結果】症例1:15歳女子。3歳時にKDを発症し、LMT-LAD 10.3mm、RCA 9.2mmの巨大瘤を合併した。発症9年の冠動脈造影でRCA Anの閉塞後再疎通を確認した。X線透視で発症6年から発症9年までの間にLCA、RCAの石灰化は増加しており、発症9年の初回CTCSは1256、発症10年の第2回CTCSは1382と増加した。 症例2:14歳男子。4歳時にKDを発症し、LMT-LAD-LCX 13.7mmの巨大瘤、LAD 6.9mm、RCA 6.1mmの瘤を合併した。冠動脈CTでは発症4年で認めなかったRCA石灰化が発症6年で認められた。発症8年の初回CTCSは483、発症9年の第2回CTCSは732と増加した。症例3:15歳男子。12歳時にKDを発症し、LAD 6.2mmの冠動脈瘤を合併した。発症1年後の初回CTCSは0であった。【考察】X線透視とCT画像で主観的・視覚的に捉えていた冠動脈石灰化をCTCSでは客観的・定量的に評価が可能であった。CTCSの陽性と増加は冠動脈石灰化の出現と進行を示唆すると考えられた。