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[I-EOP03-06] 川崎病冠動脈瘤合併後、狭窄・閉塞病変出現例における急性期~慢性期の臨床像とリスク因子
Keywords:川崎病, 冠動脈狭窄, 冠動脈閉塞
(目的)急性期に冠動脈病変を合併した症例のうち、冠動脈狭窄・閉塞をきたした例の臨床像を明らかにすること。(方法)2005年~2015年に当院を受診した急性期に冠動脈病変を合併した川崎病131例の219病変について、診療録を用いて後方視的に検討した。発症1年目以降に病変が残存していた例のうち観察期間中に狭窄または閉塞を伴った群をS(+)群、伴わなかった群をS(-)群とした。また、S(+)群のうち、観察期間中に閉塞した例をO(+)群、閉塞しなかった群をO(-)群とした。その臨床経過について病変ごとに比較検討した。(結果)発症1年目以降に病変が残存していたのは59例107病変(48.8%)であり、うちS(+)群は29病変(27.1%)、S(-)群は78病変(72.9%)であった。また、S(+)群のうちO(+)群は12病変(41.3%)であった。狭窄発生は、発症10年以内が大半を占めたが、発症10年以降に狭窄をきたす例が7病変(24.1%)あった。S(+)群とS(-)群の比較では、急性期のIVIG使用の有無(p=0.01)、巨大冠動脈瘤の有無(p=0.00003)に有意差を認めた。また、O(+)群とO(-)群の比較では右冠動脈瘤(p=0.02)、巨大冠動脈瘤の有無(p=0.01)に有意差を認めた。慢性期の抗血栓療法との関連は明らかでなかった。(結論)川崎病患者における遠隔期の冠動脈狭窄は急性期のIVIG使用、巨大瘤の有無に、冠動脈閉塞は病変部位(右冠動脈)、巨大瘤の有無に関連した。これらのイベントの遠隔期での発生もあり、危険因子を持つ症例は、長期の慎重な経過観察が必要である。