The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

E-Oral Presentation

川崎病・冠動脈・血管

E-Oral Presentation 3 (I-EOP03)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM E-Oral Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Takamichi Ishikawa(Department of Pediatrics, Hamamatsu University School of Medicine)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-EOP03-08] 治療介入を行った右冠動脈肺動脈起始の3例

加藤 昭生1, 柳 貞光1, 稲垣 佳典1, 佐藤 一寿1, 北川 陽介1, 咲間 裕之1, 小野 晋1, 金 基成1, 上田 秀明1, 武田 裕子2, 麻生 俊英2 (1.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 2.神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)

Keywords:冠動脈肺動脈起始, 右冠動脈, 診断

【はじめに】冠動脈肺動脈起始症は極めて稀な疾患で、多くは左冠動脈肺動脈起始症(ALCAPA)で、乳児期に心筋虚血を引き起こすことが広く知られている。一方、右冠動脈肺動脈起始症(ARCAPA)の頻度はさらに少なく、臨床、検査所見ともに非特異的な疾患といわれる。当院で経験したARCAPAの3例について経過、治療を検討した。【症例】1)8ヶ月女児。1ヶ月時に心雑音を指摘されたが、すぐに診断はつかず、7か月後に心臓超音波検査で診断。心電図で啼泣時のV1-3のST低下を認めた。1歳時に右冠動脈移植術施行し、術後10年まで有意な冠動脈狭窄はなし。2)日齢15の男児。胎児診断で両大血管右室起始症、肺動脈弁狭窄と指摘され、出生後は無治療で退院。日齢15に自宅で入浴中に四肢チアノーゼを認めたため、Spell発作として、造影CTを施行し、ARCAPAの診断。日齢23にDORV repairと同時に右冠動脈移植術を施行。術後5年の時点で狭窄所見なし。3)3歳男児。低出生で症候性動脈管開存症治療後に肺高血圧が遷延したため、経過フォローのカテーテル検査を施行しARCAPAの診断。診断3ヶ月後に右冠動脈移植術を施行。術後半年の時点で狭窄所見はなし。【考察】ARCAPA症例では、心筋虚血から重症心不全を来たすことは少なく、臨床・検査所見も非特異的であるため診断が困難といわれる。今回の症例では3例中2例で主肺動脈に吹き込む血流が超音波検査で確認されており、診断の一助となる可能性が示唆された。治療に関しては、心筋虚血による突然死を来たす症例も報告されており、冠動脈移植手術が推奨される。当院での手術治療介入後の短・中期的な予後は良好であった。【まとめ】ARCAPAの3例を経験した。乳児期の心雑音や先天性心疾患の精査時には、常に冠動脈起始異常を念頭において、超音波・心電図評価を行うことが望ましい。