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[I-EOP04-07] 当院における壊死性腸炎を合併した先天性心疾患の臨床像
Keywords:壊死性腸炎, 先天性心疾患, 造影剤
【背景】壊死性腸炎(NEC)は低出生体重児に発症する頻度の高い疾患であるが、しばしば先天性心疾患(CHD)に合併する。
【方法】2004年4月から2016年12月までに当院で治療を行ったCHD患者2828例のうち、Modified Bell分類でIIA以上と診断されたNEC患者15例を検討した。
【結果】CHDでのNEC発症率は全体で0.53%であり、主診断では肺動脈閉鎖兼正常心室中隔(PA/IVS) 4例(8.5%, P<0.05), 左心低形成症候群(HLHS) 3例(2.1%, P<0.05)は有意に発症率が高く、他の疾患で発症率に有意差はなかった。6例が造影検査(心臓カテーテル検査4例, CT 2例)の 1.5±1.2日後に発症している。造影検査をした3か月以下の児でNECを発症しなかった群(no NEC群 76例)と比較した。NEC群/no NEC群 で示す。Qp/Qs:3.9±0.3/ 2.3±0.15(P<0.05), CI(L/min/m2):3.5±0.2/4.5±0.5(P<0.05)と有意差を認めた。造影剤投与量(ml/kg):3.8±0.6/4.8±0.2(P=0.97)に有意差はなかった。術後発症は5例で、Norwood術2例、両側肺動脈絞扼、動脈管ステント1例、central shunt1例、主肺動脈絞扼術1例で術後14±1.5日で発症している。発症時の哺乳量は145±24ml/kg/日でfurosemide使用量は3.1±0.9mg/kg/日であった。
【考察】CHDのなかではPA/IVS、HLHSの発症率が高かった。6例で造影検査の直後に発症しており、NECとの関連性が示唆された。高肺血流で腸管血流の減少している例において造影剤の血管収縮作用により腸管虚血を起こしている可能性が考えられた。新生児期の心臓手術では腸管バリア機能が改善するまで14日程度かかるといわれており、同時期に哺乳量が多く、利尿剤量も多い例で発症している傾向があった。
【結論】CHDでは高肺血流例では造影剤の量を減らすか低浸透圧性造影剤を選択する必要があるのではないかと考えた。体肺血流シャントがある手術、高肺血流であるような例ではゆっくりと水分制限を解除することでNECを予防できる可能性が考えられた。
【方法】2004年4月から2016年12月までに当院で治療を行ったCHD患者2828例のうち、Modified Bell分類でIIA以上と診断されたNEC患者15例を検討した。
【結果】CHDでのNEC発症率は全体で0.53%であり、主診断では肺動脈閉鎖兼正常心室中隔(PA/IVS) 4例(8.5%, P<0.05), 左心低形成症候群(HLHS) 3例(2.1%, P<0.05)は有意に発症率が高く、他の疾患で発症率に有意差はなかった。6例が造影検査(心臓カテーテル検査4例, CT 2例)の 1.5±1.2日後に発症している。造影検査をした3か月以下の児でNECを発症しなかった群(no NEC群 76例)と比較した。NEC群/no NEC群 で示す。Qp/Qs:3.9±0.3/ 2.3±0.15(P<0.05), CI(L/min/m2):3.5±0.2/4.5±0.5(P<0.05)と有意差を認めた。造影剤投与量(ml/kg):3.8±0.6/4.8±0.2(P=0.97)に有意差はなかった。術後発症は5例で、Norwood術2例、両側肺動脈絞扼、動脈管ステント1例、central shunt1例、主肺動脈絞扼術1例で術後14±1.5日で発症している。発症時の哺乳量は145±24ml/kg/日でfurosemide使用量は3.1±0.9mg/kg/日であった。
【考察】CHDのなかではPA/IVS、HLHSの発症率が高かった。6例で造影検査の直後に発症しており、NECとの関連性が示唆された。高肺血流で腸管血流の減少している例において造影剤の血管収縮作用により腸管虚血を起こしている可能性が考えられた。新生児期の心臓手術では腸管バリア機能が改善するまで14日程度かかるといわれており、同時期に哺乳量が多く、利尿剤量も多い例で発症している傾向があった。
【結論】CHDでは高肺血流例では造影剤の量を減らすか低浸透圧性造影剤を選択する必要があるのではないかと考えた。体肺血流シャントがある手術、高肺血流であるような例ではゆっくりと水分制限を解除することでNECを予防できる可能性が考えられた。