08:40 〜 09:30
[I-OR01-01] 肺高血圧患者における右心室前負荷動員一回仕事量および右室肺動脈カップリングの単一心拍からの推定
キーワード:心収縮能, 肺高血圧, 心室血管カップリング
【背景】肺高血圧症(PH)の患者において、心収縮力と後負荷のカップリングは右室の後負荷に対するadaptationを反映し、予後に関連する指標として注目されている。Single-beat法で推定した収縮末期エラスタンスが使用されることが多いが、この方法の妥当性はヒトの右室では実証されていない。右室の前負荷動員一回仕事量(PRSW)は負荷依存性の低い心収縮力指標であるが、前負荷を変えながらの圧容積計測が必要なことや、後負荷とのカップリングが定義されていないことなどにより臨床応用が限られていた。今回我々はsingle-beatからPRSW及び心室血管カップリングを推定する新たな方法を考案し、その予測精度をヒトの右室において検討した。
【方法】右心カテのために紹介となった31人の患者(内23人はPHあり)において右室の圧容積同時計測を行った。バルサルバ法で負荷を変化させながら、PRSW関係の傾き(Msw)とX軸との交点(Vsw)を実測した。single-beat Mswは、収縮末期容積がVswの時の収縮末期圧として求め、後負荷とのカップリングはMswを平均駆出圧(Pm)で割って求めた。
【結果】患者は61±12歳で、右室収縮期圧は50±22mmHgであった。従来報告されているsingle-beat法で推定した右室収縮末期エラスタンスはヒトでは予測精度が低かった(r=0.40, p=0.03)。新たに考案したsingle-beat法で求めたMswは実測のMswと強く相関した(r=0.91, p<0.0001)。心室血管カップリングの指標であるMsw/Pmの推定値も実測値と有意な相関を認め(r=0.51, p=0.0032)、右室収縮圧が高い症例においてはその予測精度はさらに高かった(r=0.70, p=0.002)。
【結論】ヒトの右室において初めてsingle-beatから心収縮力及び心室血管カップリングを高精度に推定することができた。PRSW関係の解析は、低侵襲で後負荷に対する右室のadaptationを評価することができ、PHにおける右室機能評価の画期的なMethodologyとなりうる。
【方法】右心カテのために紹介となった31人の患者(内23人はPHあり)において右室の圧容積同時計測を行った。バルサルバ法で負荷を変化させながら、PRSW関係の傾き(Msw)とX軸との交点(Vsw)を実測した。single-beat Mswは、収縮末期容積がVswの時の収縮末期圧として求め、後負荷とのカップリングはMswを平均駆出圧(Pm)で割って求めた。
【結果】患者は61±12歳で、右室収縮期圧は50±22mmHgであった。従来報告されているsingle-beat法で推定した右室収縮末期エラスタンスはヒトでは予測精度が低かった(r=0.40, p=0.03)。新たに考案したsingle-beat法で求めたMswは実測のMswと強く相関した(r=0.91, p<0.0001)。心室血管カップリングの指標であるMsw/Pmの推定値も実測値と有意な相関を認め(r=0.51, p=0.0032)、右室収縮圧が高い症例においてはその予測精度はさらに高かった(r=0.70, p=0.002)。
【結論】ヒトの右室において初めてsingle-beatから心収縮力及び心室血管カップリングを高精度に推定することができた。PRSW関係の解析は、低侵襲で後負荷に対する右室のadaptationを評価することができ、PHにおける右室機能評価の画期的なMethodologyとなりうる。