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[I-OR03-01] 非細菌感染時のFontan患者のプレセプシン値はFontan病態の重症度を反映する
キーワード:プレセプシン, Fontan術後, 重症度
【背景】プレセプシン(PSEP)は細菌由来のリポ多糖を認識するCD14のN末端アミノ酸である。自然免疫系における細菌貪食によって産生され、非細菌感染性炎症では上昇しない敗血症の早期診断マーカーである。Fontan (F)術後患者で上昇する例が散見されるが、その病的意義の検討は不十分である。【方法】過去1年に入院した感染徴候を認めないF術後患者のうちPSEPを測定した18人(3~37歳、中央値20歳、F術後中央値13年、男性10人)を対象とした。PSEP値(pg/mL)と、背景因子(体心室形態、相同心、F術施行年齢など)、心不全指標(カテーテルで測定した中心静脈圧(CVP)や心係数(CI)、心室拡張末期容積係数(SVEDVI)、駆出率(EF))、BNP値、最大酸素摂取量(peakVO2)、過去1年の入院日数、肝機能不全の指標(ヒアルロン酸(HA)、インドシアニングリーン15分停滞率(ICG15))、クレアチニンクリアランス(CCr)、CRP、白血球数、QRS幅との関連を後方視的に検討した。【結果】8人(44%)のPSEP値が敗血症診断のcut-offである500 pg/mL以上であった。log PSEPはPLE患者で有意に高値であり(p = 0.032)、log BNP (r = 0.72)、CVP (r = 0.74)、CI (r = 0.69)、過去1年の入院日数(r = 0.74)、HA (r = 0.74)、Alb (r = -0.65)、CCr (r = -0.73)と相関した。F術後年数、CRP、白血球数、EF、peakVO2は相関を認めなかった(p>0.1)。【考察・結論】多くのF患者は非細菌感染時にも関わらずPSEP高値を呈し、自然免疫系の亢進が予想された。PSEP値は心、肝、腎機能低下と関連し、慢性的な高CVPなどF術後の病態の重症度を反映している可能性があり、今後前向きな検証を考慮したい。