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[I-OR03-04] Fontan手術後症例における不整脈治療についての検討
キーワード:フォンタン手術, 不整脈, 治療
【背景】Fontan手術(F術)の普及により単心室患者の生存率は改善している。一方で中長期合併症として蛋白漏出性胃腸症、肝障害とともに不整脈がある。TCPC術後例では不整脈発症がAPC術後例よりも少ないとされているが、治療方針、効果についての報告は少ない。【目的】F術後症例の不整脈治療方針についての検討。【方法】当院で施行されたF術196症例を調査し、当初のF術の種類(APC(A群)、TCPC(T群))、不整脈の発生時期、不整脈・デバイス・アブレーション・TCPC転換術歴について後方視的に検討を行った。【結果】対象はA群38例、T群158例であった。10年以上フォロー不明7例を除き、フォローアップ期間は中央値A群27.7(17.0-47.9)年、T群8.5(2.1-39.4)年。死亡例はA群3例(8%)、T群8例(5%)。抗不整脈薬投与例は上室性不整脈20例、心室性不整脈6例でA群11例(29%)T群15例(9%)。不整脈発症時期は中央値A群20.4(9.4-33.9)歳、T群2.3(0-37.2)歳(うちF術前6例)。A群のうち31例はTCPC転換術を施行され、アブレーションはA群10例、T群2例で施行。A群はいずれも転換術前、T群はF術前に施行。デバイスはA群9例、T群6例。手術、アブレーション等の治療介入後、薬物中止可能例がA群4例(36%)、T群6例(40%)であった。【考察】A群では経年的に不整脈発生が増加するとされており不整脈発症前より積極的にTCPC転換手術を行い一定の効果を挙げている。T群ではF術後の発症例はデバイス・薬物治療が中心となるがF術前の発症例も多い。近年F術前の発症例では心房アクセスが容易なこの時期にEPSを行い不整脈の再評価を行うことにより、薬物中止、アブレーション等の治療介入の選択が広がり、約4割の症例で薬物中止をすることができ、治療方針を決定するうえで有益と考えている。【結論】A群はTCPC転換術、T群はF術前発症にはEPSを施行、術後発症に対しては薬物・デバイスでの治療を行い一定の効果を得ている。