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[I-OR03-05] フォンタン型手術後患者におけるICU-AWの発症状況と運動発達予後
Keywords:ICU-AW, 運動発達, リハビリテーション
【背景】筋力低下を主体とした機能障害であるICU-AW(Intensive Care Unit Acquired Weakness)は、小児先天性心疾患手術後患者でも発症している可能性が高いことが指摘されているが、その発生頻度や臨床的予後への影響は不明である。【目的】フォンタン型手術(TCPC)後患者におけるICU-AWの発症状況と運動発達予後との関連性を調査すること。【対象と方法】2012年4月から2016年1月までにTCPCを受けた24例(手術時平均年齢2歳3ヵ月、男児12例)。診療録より患者情報、手術後経過、リハ経過、手術前後の遠城寺式発達検査結果を後方視的に調査し、診断基準に従ってICU-AWを判定するとともに、ICU-AW群(AW群)と非ICU-AW群(N群)の2群に分けて比較検討した。なお、周術期に明らかな神経疾患や運動器障害を呈するものは除外した。【結果】ICU-AWと判定できたのは24例中13例(54.2%)、覚醒時のMedical Research Council スコア(=筋力評価)は、AW群31.1±10.7点、N群51.6±2.7点であった。挿管時間(中央値169.4時間 vs. 7.9時間)、PICU滞在日数(中央値13日 vs. 7日)、座位再獲得まで(中央値18.5日 vs. 4日)、歩行再獲得までの日数(中央値47.5日 vs. 20.5日)はAW群で有意に長く(p<0.01)、AW群のうちの10例(76.9%)は退院後も身体機能向上を目的としたリハを必要とした。手術前の発達指数(DQ)は両群間で差を認めなかったものの、手術後一年時のDQは移動運動(88.0±16.0 vs. 100.6±13.8)、手の運動(87.9±10.8 vs. 94.2±11.8)、発語(83.3±18.3 vs. 94.0±18.8)においてAW群で有意に低かった(p<0.05)。両群間において手術後一年時のMedical Research Council スコアには差を認めなかった。【まとめ】TCPC患者の約半数にICU-AWが認められ、ICU-AW群において手術後一年時の運動発達が遅れる傾向にあった。そのため、ICU-AW症例に対しては継続した発達支援が必要である。