The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

心不全・心移植

Free Paper Oral 5 (I-OR05)

Fri. Jul 7, 2017 8:40 AM - 9:40 AM ROOM 3 (Exhibition and Event Hall Room 3)

Chair:Hiromichi Nakajima(Department of cardiology, Chiba Children's Hospital)

8:40 AM - 9:40 AM

[I-OR05-02] 小児重症拘束型心筋症における左室補助人工心臓を用いた肺高血圧治療の有用性

長谷川 然1, 上野 高義1, 平 将生1, 小澤 秀登1, 木戸 高志1, 金谷 知潤1, 奥田 直樹1, 松長 由里子1, 渡邊 卓次1, 小垣 滋豊2, 澤 芳樹1 (1.大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科, 2.大阪大学大学院医学系研究科 小児科)

Keywords:心不全, 肺高血圧, 拘束型心筋症

【背景】拘束型心筋症(RCM)では肺高血圧(PH)進行により,心臓移植の適応禁忌となるような重症例を認める.かかる症例では心肺同時移植を念頭においた治療を行うが,特に小児症例においては国内での心肺同時移植の可能性は少なく積極的なPH治療を行わなくてはならない.しかし,内科的治療だけでは左室の拘束性障害を顕在化させる危険性が高く,成人では左室補助人工心臓(LVAD)を用いた治療の可能性が報告されている.当院ではPHを合併した小児重症RCM患者に対し積極的にLVADを導入し心臓移植前にPH治療を行なっており,その安全性と有用性について検討した.
【対象】2014年2月から2016年12月の間に,心臓移植登録をしたPH合併小児RCM患者4例(男児2例,女児2例).LVADはBerlin Heart EXCOR(1歳×2例), HVAD(11歳), Jarvik2000(12歳),を用いた.術後より肺血管拡張薬を投与し(PDE5阻害薬,エンドセリン受容体拮抗薬,PGI2製剤のうち2剤併用),術前後で心臓カテーテル検査を比較しPHの治療効果を検討した.
【結果】平均サポート期間は318(45-1081)日であった.1例が心臓移植に到達し(サポート期間45日),3例が現在心臓移植待機中である(2例は1年以上の長期サポート).合併症として脳塞栓症は1例のみであった(後遺症なし).術前と術後1ヶ月での右心カテーテル検査(平均値,range)では, PCWP:27.8(20-42)→8.8(6-12)mmHg,mPAP:54(49-65)→18.2(13-24)mmHg,PVRI:8.4(2.9-13.2)→2.0(1.5-2.4)単位と改善を認めた.長期サポートの2例では,1年後以降のカテーテル検査でも肺高血圧の進行は認めていない.
【まとめ】PHを合併するRCMに対するLVADを併用した肺高血圧治療はPHの改善が期待でき,安定した状態で移植待機できる可能性が示唆された.