Free Paper Oral 5 (I-OR05)

[I-OR05-04] 術中心エコーを用いた至適ペーシングサイト“スイートスポット”への心外膜リード留置は、小児重症心不全に対するCRTの効果を高める

^○瀧聞 浄宏¹, 安河内 聰¹, 武井 黄太¹, 田澤 星一¹, 岡村 達², 上松 耕太², 原田 順和² (1.長野県立こども病院 循環器小児科, 2.長野県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:　心不全, CRT, 術中心エコー

【背景】我々は心外膜リードを用いたCRTにおいて術中心エコーを駆使して,至適ペーシングサイト“いわゆるスイートスポット”を決定し、リード留置している。【目的】小児重症心不全において術中心エコーを用いた至適ペーシングサイトガイドのCRTへの効果を検討すること。【対象と方法】対象は,2001年11月からの16例,心エコーで心臓非同期が存在したDCM9例（CRT施行時年齢：中央値11ヶ月,9ヶ月-3歳 ）と心室間非同期が存在したFontan candidate 7例（2歳,4ヶ月-22歳 ）。観察期間は2ヶ月-13年。方法は,側開胸部位から心室側壁に仮電極を3-4箇所に装着,心エコーで短軸断面を描出し同期の変化を観察,流出路のVelocity time integral も計測した。最も同期性とVTIが改善した箇所を一方のペーシングサイトとし,permanent leadを装着。さらに正中切開部位から仮電極を流出路の3-4箇所に装着,側壁と同時ペーシング,心エコーをしながらもう一方ペーシングサイトを決定した。CRT前後でのNYHA,LVEF,LVESVI,主心室FAC,心室間非同期等を比較した。【結果】CRT前,DCM9例でNYHAIVは7例,BNP 640 (19-2014) pg/ml, LVEF 8(4-30)%。Fontan candidate7例でNYHAIVが4例,BNP111( 30-875) pg/ml,主心室のFACが0.3以下で心室間非同期による低心拍出が認められた。ペーシングを至適部位から4-5mm程度移動すると明らかに非同期が悪化した。CRT後,DCM群では全例super-responder（LVESVI＞30%の減少）で,BNP 25(9-94)pg/ml,LVEF 56(41-55)%と著明な改善があった。NYHAは7例でNYHAI,1例でNYHAIIとなった。カテコラミン離脱不能であったDCM3例では離脱できた。Fontan群では,全例でFACと非同期が改善,5例でNYHA I以上改善し,BNPは6例で50pg/ml以下に低下。【結語】術中心エコーによる心外膜リードのスイートスポット（至適ペーシングサイト）へのガイドはCRTの効果を最大限にする。これにより心臓移植回避ができる症例も存在する。