The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

心不全・心移植

Free Paper Oral 5 (I-OR05)

Fri. Jul 7, 2017 8:40 AM - 9:40 AM ROOM 3 (Exhibition and Event Hall Room 3)

Chair:Hiromichi Nakajima(Department of cardiology, Chiba Children's Hospital)

8:40 AM - 9:40 AM

[I-OR05-05] フォンタン循環不全患者における陽・陰圧体外式人工呼吸器を用いた心臓リハビリテーションの有用性

岡田 清吾1, 宗内 淳1, 野中 香里2, 長友 雄作1, 飯田 千晶1, 白水 優光1, 松岡 良平1, 渡邉 まみ江1 (1.九州病院 小児科, 2.九州病院 リハビリテーション科)

Keywords:RTX, 蛋白漏出性胃腸症, 鋳型気管支炎

【背景と目的】フォンタン循環では肺への駆動心室が欠如しており,心拍出量増加における呼吸運動や筋肉ポンプの働きは大きい.陽・陰圧体外式人工呼吸器(RTX)を使用した胸郭への外的補助呼吸がフォンタン循環に及ぼす影響についての知見は少ない.フォンタン術後遠隔期における心臓リハビリテーションの一環としてRTXの有効性を検証した.
【症例1】16歳男.左心低形成症候群に対して1歳9か月にTCPCを施行した.13歳から蛋白漏出性胃腸症(PLE)と鋳型気管支炎(PB)を発症し,低Alb血症(Alb1.0~1.9g/dl)に対して頻回Alb・IgG補充を要し入退院を繰り返した.心臓カテーテル検査では中心動脈圧15mmHg,心係数3.3l/min/m2であった.16歳時RTX導入後, PLE・PBに伴う諸症状が改善し,Alb補充不要となった(血清Alb 3.0g/dl).RTX施行中の一回拍出量は26→39mlと増加した.
【症例2】16歳男.左心系単心室に対し2歳時にTCPCを施行した.その際に左横隔神経麻痺を合併した.16歳から労作時呼吸困難およびチアノーゼが増強した.心臓カテーテル検査では中心静脈圧12mmHg,心係数5.2l/min/m2であり,静脈側副路に対する塞栓術を行ったが無効であった.RTX導入後6分間歩行250→365mと運動耐容能が改善した.
【症例3】11歳男.無脾症・共通房室弁口を伴う機能的単心室に対し2歳時にTCPCを施行した.術後3か月に遅発性肺静脈狭窄からPLEを発症し解除術を行った.心カテでは中心静脈圧13mmHg,心係数3.1l/min/m2であった.咳嗽,胸痛およびチアノーゼが進行したため11歳からRTXを導入し,1回拍出量の増加(38→53ml)と運動耐容能改善が認められた.
【考察】循環破綻を生じたフォンタン患者3名にRTXを用いたリハビリテーションを行った.いずれもRTXを使用した外的補助呼吸による心拍出量増加が示唆され,フォンタン術後遠隔期のリハビリテーションとして有用と考えた.