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[I-OR06-01] 成人先天性心疾患患者の結婚・妊娠・出産に対する認識調査をもとにした支援のあり方
キーワード:先天性心疾患, 妊娠, 認識
【背景・目的】成人先天性心疾患(CHD)患者の増加によりCHD女性の結婚・妊娠の機会も多くなった。心疾患と結婚・妊娠に対するCHD女性の認識を明らかにし支援のあり方を考察する。【方法】K大学病院移行期外来に通院するCHD女性307人(20~49歳)に心疾患が妊娠出産に及ぼす影響に関する質問紙を郵送し横断的観察研究を行った(2015年11月~2016年2月)。身体障害者手帳1級認定の有無が心疾患重症度や日常生活レベルを包括的に反映すると考え、その取得の有無で比較検討した。【結果・考察】回答者114人(有効回答率37.1%、28±7歳、20~49歳、手帳取得者63人:55%)を分析対象とした。主なCHDは三尖弁閉鎖/単心室症23人、ファロー四徴症19人、心室中隔欠損症15人。手帳取得者はチアノーゼ性心疾患の割合(取得者92.1%、非取得者45.1%)が有意に高く、NYHA心機能分類、手術回数、心疾患治療薬の服用、自覚するチアノーゼ症状も有意差がみられた(p<0.05)。結婚願望(取得者86.0%、非取得者91.4%)、妊娠願望(取得者72.5%、非取得者80.0%)は手帳の有無に関わらず両群で高く有意差はなかった。親子間の遺伝率が高い心房中隔欠損症、動脈管開存症、心室中隔欠損症の割合が多い非取得者の方が、心疾患が遺伝すると認識している者は有意に少なかった(p=0.006)。心疾患治療薬の児への影響は手帳取得者の方が心配しており(p=0.005)、妊娠による心臓への負担など一般的な認識には手帳の有無で差はなかった。【結論】結婚や妊娠願望の高い本研究のCHD女性においても心疾患と妊娠出産に対する誤った認識が見られた。循環器専門医、周産期医師、助産師等の多職種が連携し、エビデンスに基づいた情報を適切な時期に提供しCHD女性の妊娠・出産を安全に管理できるシステムの構築が必須である。