09:40 〜 10:30
[I-OR06-02] 先天性心疾患女性患者の妊娠・出産経験に関する質的研究
キーワード:先天性心疾患, 妊娠, 質的研究
【背景・目的】先天性心疾患(Congenital Heart Disease;CHD)女性は妊娠・出産時、医療的・精神的困難に直面することが多く支援体制の構築が喫緊の課題であるが、その支援にむけて患者の視点から妊娠・出産をとらえ人生における意味を検討した研究は極めて少ない。【方法】正常児を出産したCHD女性8人(心疾患:BWG症候群 1、修正大血管転位 1、エプスタイン奇形2、総肺静脈還流異常1、ファロー四徴症 2、心室中隔欠損症 1、平均年齢34.4歳、帝切/経膣:1/7)に自由に経験を語ってもらう非構造化面接(平均50分)を行った。主観的経験の意味を探求する記述的現象学的アプローチで行い、現象学において確証性を導く分析方法であるColaizziモデルで分析した。質的分析ソフトであるNvivo11を使用した。【結果】4カテゴリーが示された。1.『妊娠・出産への不安と覚悟』では、妊娠・出産への希望と同時に、子どもや自身への影響を心配し葛藤していたが、出産が近くなるにつれ覚悟を決めていた。2.『妊娠・出産に影響する医療との関わり』では、産科医だけでなく信頼できる循環器専門医の診療も受けていることで安心して妊娠・出産に臨むことができていた。3.『心疾患が影響する妊娠・出産時の家族の協力』では、特に母親との関係性が大きく影響していた。4.『妊娠・出産を経験して得た新しい自己の存在意義』では、妊娠・出産の経験が自己達成感や自信を得る好機となっていた。また、守るべき存在ができたことにより、疾患管理に対する意識が向上していた。【考察】少人数であるがCHD女性の視点から妊娠・出産の影響を検討した。CHD女性は家族や医師に支えられながら出産の覚悟に至り、妊娠・出産を経て女性・母親としてだけでなく心疾患患者としても新たな人生の意義を見出していた。循環器科・産科の連携と共に家族も含む支援の必要性が示唆された。