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[I-OR06-03] 分娩様式が新生児の経時的心機能変化に与える影響の検討
キーワード:分娩様式, 帝王切開, 両心機能
【背景】 帝王切開の出生では呼吸障害を生じやすく、分娩様式が呼吸循環動態の変化に影響すると考えられる。しかし、分娩様式の違いによる両心室機能の経時的変化を検討した報告はない。【目的】Tei indexは、心室収縮能と拡張能の両者を評価でき、心拍数の影響も受けにくい統合的心室機能評価指標であり、E/e´ (心室流入血流速度/拡張早期弁輪移動速度)は拡張末期圧と相関し心機能を鋭敏に反映する。今回、分娩様式による成熟新生児の両心室のTei index、E/e´の経時的変化の違いを比較検討した。【対象・方法】当院で出生した成熟新生児102例(帝王切開25例、経腟分娩77例)を対象とし、両心室のTei index、E/e´を測定した。出生後24 h以内、24-48 h、48-72 h、日齢5の測定値の分娩様式による違いを反復測定分散分析により解析した。【結果】右室E/e´の0-24h、24-48h、48-72h、日齢5の測定値は帝王切開群(C)で6.97±1.85、7.63±2.0、7.83±2.54、7.48±2.43、経腟分娩群(V)では4.70±1.87、3.63±1.47、3.55±1.56、2.66±1.16と推移し、日齢5までCがVより有意に高値を示した (P<0.001)。左室E/e´にはCとVで有意差は認めなかった。一方、右室Tei indexの経時変化は、 Cで0.32±0.08、0.22±0.07、0.22±0.07、0.20±0.08、Vで 0.33±0.10、0.26±0.09、0.22±0.10、0.18±0.08で、左室Tei indexは、Cで 0.28±0.08、0.24±0.08、0.25±0.10、0.22±0.11、Vで0.27±0.08、0.25±0.09、0.24±0.10、0.21±0.10と変化し、両心室とも0-24hで有意に高値を示したが、CとVで差を認めなかった。【考察】出生後、分娩様式に関わらず24時間目以降にTei indexは低下し、両心室機能の改善を認める。一方で、帝王切開児では生後5日目でも右室拡張末期圧の高値が持続することから、帝王切開による肺循環の確立障害が出生後も右心機能へ影響し、一定期間持続すると考えられた。