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[I-OR06-04] 当院における先天性心疾患合併妊娠症例の検討
キーワード:先天性心疾患, 妊娠, 出産
【背景】近年の医療の発展により、先天性心疾患の予後は著名に改善してきている。それに伴い、生殖年齢に達する先天性心疾患を有する女性も増加しており、当院でも先天性疾患合併妊娠の管理を行うことが多くなってきた。【目的】当院における先天性心疾患合併妊娠・出産の現状を把握し、その問題点を明らかにする。【方法】2012年から2016年に当院で管理を行った先天性心疾患合併妊娠・出産の症例について、診療録から後方視的にその情報を抽出し検討した。【結果】症例は52名53妊娠であった。疾患は心室中隔欠損症未手術9名、根治術後15名、心房中隔欠損症未手術3名、根治術後4名、動脈管開存症未手術1名、根治術後2名、ファロー四徴症修復術後7名、大動脈縮窄症術後3名(心室中隔欠損症合併例2名)、大動脈弁狭窄症機械弁置換術後1名、肺動脈弁狭窄バルーン拡張術後2名、完全大血管転位症Jatene術後1名、房室中隔欠損症根治術後2名、右肺動脈上行大動脈起始症術後1名、僧帽弁閉鎖不全症未手術1名であった。母体の年齢は19-39歳で中央値は30歳であった。分娩様式は経膣分娩が31件、帝王切開が20件であった。妊娠経過中、産褥期を通して母体の心不全発症や死亡例は認められなかった。子宮内胎児死亡例が2例、早産が10例、希望による中絶が1例であった。出生児のうち1例で筋性部心室中隔欠損症を認めた。その他の先天異常としては肺分画症が1例で認められた。【結論】これまでの報告と同様に、先天性心疾患患者の分娩様式は、一般人口と比較して帝王切開が多い傾向があったが、当院でも先天性心疾患患者の妊娠・分娩管理は問題なく行うことができた。今後も、先天性心疾患を有した妊婦の数は増加してくることが予想され、産科、小児科、循環器科、心臓血管外科、麻酔科等の関係各科が連携して診療に当たる必要があると思われた。