第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

染色体異常・遺伝子異常

一般口演 7 (I-OR07)
染色体異常・遺伝子異常

2017年7月7日(金) 08:40 〜 09:30 第5会場 (1F 展示イベントホール Room 5)

座長:内田 敬子(慶應義塾大学 保健管理センター)

08:40 〜 09:30

[I-OR07-02] 高肺血流性心疾患を有する18トリソミーに対する姑息手術の効果の検討

中村 香絵1, 江原 英治1, 押谷 知明1, 數田 高生1, 川崎 有希1, 加藤 有子2, 吉田 葉子2, 鈴木 嗣敏2, 川平 洋一3, 西垣 恭一3, 村上 洋介1 (1.大阪市立総合医療センター 小児循環器内科, 2.大阪市立総合医療センター 小児不整脈科, 3.大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科)

キーワード:18トリソミー, 先天性心疾患, 姑息手術

【背景】18トリソミーは生命予後不良な疾患であるが,近年では積極的介入による在宅移行率の向上も報告されている.当院でも2005年以降在宅移行を第一の目的として人工呼吸を含めた積極的治療を行い,必要に応じて姑息術を中心とした心疾患に対する介入も行っている.【目的】高肺血流性心疾患を有する18トリソミー症例における姑息術の効果および予後を検証すること.【対象と方法】1994年から2016年に当院で治療した18トリソミー68例のうち院内出生の47例.心疾患に対する外科介入を行った17例(A群)について心疾患の内訳,手術成績,予後について検討した.また在宅移行率,生存率については介入しなかった30例(2005年以降の15例(B群)及び2004年以前の保存的治療のみの15例(C群))と比較検討した.【結果】A群の在胎週数の中央値37週1日(35週-40週)で出生体重の中央値1490g(1065g-2597g).先天性心疾患の内訳はVSD+PDA9例,VSD+CoA5例,VSD1例,AVSD1例,severeAS+VSD1例.術式は全例姑息術で肺動脈絞扼術(PAB)+動脈管結紮術9例,両側PAB6例,PAB,動脈管結紮術各1例であった.手術時年齢の中央値は日齢14(3-46)で,術前に人工呼吸管理を要したのは12例(71%)であった.周術期死亡はなく全例で術後心不全症状の改善を認めた.在宅移行は11例(65%)で可能だった.退院時経腸栄養は確立し気管切開例はなく,DPAP1例,在宅酸素療法7例であった.一方,死亡退院の6例は重大な消化管や呼吸器疾患を有し心外合併症により死亡した.各群の在宅移行率はA群65%(11/17例),B群40%(6/15),C群13%(2/15).現在生存例はA群4例(10y,3y,1y9m,1y5m),B群3例(1y4m,6m,4m),C群1例(10yで転居,心疾患なし)で,生後1,3,6,12か月の経時的生存率(%)はA群100/88/53/35,B群60/47/-/-,C群40/33/13/7であった.【結論】心疾患への姑息術により在宅移行率,生存率の向上がみられた.一方,手術介入なしでも在宅移行可能な例もあり個々の症例の状況に応じた対応が重要である.