第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

術後遠隔期・合併症・発達

一般口演 9 (I-OR09)
術後遠隔期・合併症・発達 2

2017年7月7日(金) 13:05 〜 13:55 第5会場 (1F 展示イベントホール Room 5)

座長:西川 浩(中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科)

13:05 〜 13:55

[I-OR09-01] 新生児期・乳児期BTシャント術と肺動脈発達との関係

荒瀬 裕己1, 川谷 洋平1, 菅野 幹雄1, 黒部 裕嗣1, 藤本 鋭貴1, 北市 隆1, 北川 哲也1, 小野 朱美2, 早渕 康信2 (1.徳島大学附属病院 心臓血管外科, 2.徳島大学附属病院 小児科)

キーワード:BTシャント, 肺動脈, 発達

【背景】BTシャント手術はdefinitive手術の達成に大きく関わる。しかし術後に側副血行路が発達し、上葉肺の発育が阻害されることがある。そこで肺動脈上葉枝の発達に関わる因子について検討した。【対象】2004年1月~16年12月の間にBTSを行なった26例を対象とした。術式は側開胸(16例)または正中開胸(10例)とし、肺動脈形成術の追加の必要性がある場合や血行動態が不安定な場合は人工心肺装置を用いた。【方法】術後の造影検査にて肺動脈の上葉枝が順行性に造影されるかを比較し、上葉枝が順行性に映るものをwash out grade 0 (WG-0) 、上葉枝の区域枝が映らないものをWG-1、全く映らないものをWG-2と分類し、開胸方法、シャントサイズ、造影検査時のSpO2、低酸素期間、肺動脈中心部からの血流(肺動脈弁を通過する血流があるものに加え、シャントを肺動脈中心部に吻合したものもcentral flow:cfとした)があるかについてそれぞれ比較検討した。【結果】平均手術時日齢は89.5±141日、平均体重は3.8±1.4kgで、原疾患はTOF 9例、VSD/PA 7例、TGA 3例、PAIVS 5例、DORV 2例であった。wash outについてはWG-1が18例、WG-2が4例、WG-3が4例であった。そしてWG-0, WG-1, WG-3については、開胸アプローチ(側開胸/正中開胸;10/8, 2/2, 4/0 p=0.24)、シャントサイズ比(1.03±0.26, 1.12±0.12, 1.10±0.30 p=0.90)、SpO2(74.6±8.5, 73.5±2.7, 71.3±9.9 p=0.75) 、低酸素期間(421±339, 418±202, 268±246 p=0.49)では有意な差を認めなかったが、cf(+/-;15/3, 3/1, 1/3 p=0.04)では有意差が見られた。【考察】今回の検討では、肺動脈のcfの有無が後の肺動脈の発達に関与していることが示唆された。何らかの理由で側開胸にてBTSを行う場合は、術後にcfがあるかを意識することか肝要である。また、胸骨正中切開によるBTSは左右肺動脈へのcfを得られることが容易で、後の肺動脈の発達に関しても有利な点があると考えた。