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[I-OR09-02] 総肺静脈還流異常症3型の術後遠隔期に、蛋白漏出胃腸症を発症し心膜切除術を施行した1例
キーワード:蛋白漏出性胃腸症, 収縮性心膜炎, 総肺静脈還流異常症
【緒言】収縮性心膜炎(CP)により蛋白漏出性胃腸症(PLE)を発症することがあるが、先天性心疾患の術後遠隔期にCPのためPLEを発症した報告は少ない。【症例】16歳男性。日齢7にTAPVR3型の修復手術を行い、術後肺静脈狭窄のため乳児期に再手術を3回施行した。以後、9歳までプレドニゾロンを内服した。15歳時にPLEを発症。スピロノラクトン等で寛解したが3ヶ月後に再燃した。心臓カテーテル検査では中心静脈圧17, 右室圧50/EDP16, 右肺動脈圧38/19(23), 左室圧126/EDP17(mmHg)と両心室の拘束性障害がみられた。また、左肺静脈は閉塞のため右肺静脈を経由して左心房へ還流しており、右肺静脈の左心房流入速度は1.7m/sと軽度の狭窄があった。利尿剤増量、肺血管拡張薬の追加を行ったが改善なく、アルブミン(Alb)補充を隔日、皮下注γグロブリン補充を週1回要するようになった。CT上、心膜石灰化がみられCPがPLEの原因と考え、発症から約11ヶ月後に心膜切除手術と三尖弁形成術を行った。術後中心静脈圧は約10mmHgとなった。病理組織では右室前面に広範囲な石灰化を伴う線維性組織がみられた。術後1ヶ月が経過し、Albとγグロブリン補充は週1回まで減量でき、Alb値は約3.0g/dlで安定している。少量の左胸水が残存しているが、眼瞼、下腿の浮腫や腹部膨満感はない。【考察】先天性心疾患の術後遠隔期にPLEを発症することがあり、その際はCPを疑う必要がある。心膜切除手術が有効な可能性があるが、遠隔期予後は不明である。今後の症例の蓄積が望まれる。