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[I-OR09-05] 片側肺動脈狭窄に伴う対側肺高血圧症例に対する治療経験
キーワード:術後肺動脈狭窄, 肺高血圧, カテーテル治療
【背景】先天性心疾患において、心臓外科手術後に片側肺動脈狭窄(PS)を呈し、二次性に対側肺高血圧(PH)を呈する症例をしばしば経験する。我々は大動脈弓離断(IAA)・大動脈肺動脈窓(AP window)に対する右肺動脈再検術後狭窄の症例および大動脈弁狭窄(AS)・大動脈縮窄(COA)・心室中隔欠損(VSD)に対するYasui術後の右肺動脈狭窄(RPAS)の症例に対して、カテーテル治療と肺血管拡張薬の併用を行い、良好な経過を得たので報告する。【症例1】5歳男児。IAA・AP windowの診断で日齢14に大動脈再建・AP window修復手術を実施した。術後RPASおよび左肺高血圧がみられたため、術後7か月時よりバルーン拡大術を繰り返すとともに肺血管拡張薬内服を行った。狭窄部径は2.0→5.4mm、末梢肺動脈径は右4.5mm→12.3mm、左6.2mm→11.2mmに拡大し、平均肺動脈圧は右3→11mmHg、左37→17mmHg、肺血流シンチでは右:左=22:78→51:49に改善した。【症例2】4歳男児。AS・COA・VSDの診断で日齢16に大動脈縮窄修復および肺動脈絞扼術、1歳9か月時にYasui(Damus-Kaye-Stansel, Rastelli)手術を実施した。術後左右肺動脈分岐部狭窄がみられ、術後5か月時に両側にバルーン拡大を実施した。以後もRPASは残存しバルーン拡大を繰り返したが効果は不十分で、術後1年9か月時の平均肺動脈圧は右9→12mmHg、左18→35mmHgと悪化し肺血管拡張薬内服の併用を開始し、術後2年9か月時にRPASに対してステント留置を行った。狭窄部径は1.3→6.2mm、末梢肺動脈径は右6.2→8.2mm、左11.4→12.0mmに拡大し、平均肺動脈圧は右12→12mmHg、左35→15mmHg、肺血流シンチでは右:左=35:65→55:45に改善した。【考察】先天性心疾患術後の片側PS・対側PHの症例に対して、バルーン拡大やステント留置といったカテーテル治療に肺血管拡張薬を組み合わせることにより、血管径の拡大のみでなく肺動脈圧・血流差の是正を図ることも可能である。