第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

術後遠隔期・合併症・発達

一般口演 10 (I-OR10)
術後遠隔期・合併症・発達 3

2017年7月7日(金) 13:55 〜 14:45 第5会場 (1F 展示イベントホール Room 5)

座長:三浦 大(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

13:55 〜 14:45

[I-OR10-05] 経時変化からみたFontan患者における日常の活動量と肝機能の関連

簗 明子, 桑田 聖子, 栗嶋 クララ, 岩本 洋一, 石戸 博隆, 増谷 聡, 先崎 秀明 (埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

キーワード:Fontan, 肝機能, 日常活動量

【背景と目的】我々は、Fontan患者の日常の活動量は、肝うっ血と密接に関連している可能性を報告してきたが、日常活動量と肝うっ血との因果関係をさらに明らかにするために、Fontan患者の日常の活動量を経時的に計測し、1年経過後の日常の活動量の変化と肝機能の変化の関係を検討した。【方法】Fontan患者37人(平均9.8歳)を対象に、高精度行動量測定計Actical(Phillips-Respironics, USA)を2週間装着して活動消費エネルギーActivity Energy Expenditure(AEE)、歩数を測定し、1年前の同時期に同測定計で測定したそれらと比較した。各々同時期に測定した肝うっ血マーカー(γ-GTP値)、肝線維化マーカー(4型コラーゲン7S値)と比較した。【結果】1年前と比較し、日常AEEが増加したFontan患者群 (n=9、平均8.0歳(1年前))のγ-GTP値は有意に上昇した(AEE 10.5/12.9 kcal/kg/日 p<0.01, 歩数9288/12452 歩/日 p<0.001, γ-GTP値 37.4/47.6 IU/L p<0.01)。一方、日常AEEが減少したFontan患者群 (n=13、平均8.7歳(1年前))の4型コラーゲン7S値は有意に減少した(AEE 13.5/11.0 kcal/kg/日 p<0.001, 歩数11674/9434歩/日 p<0.05, 4型コラーゲン7S値 8.2/7.5 ng/mL p=0.01)。日常AEEの増減に関わっていたのは中等度以上(>3.0Mets)の活動レベルの活動量、活動時間であった。【結論】Fontan患者の日常の活動量と中等度以上の活動レベルは、肝機能と密接に関連している可能性が示唆された。