第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

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一般口演 11 (I-OR11)
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2017年7月7日(金) 15:10 〜 16:00 第5会場 (1F 展示イベントホール Room 5)

座長:高橋 健(順天堂大学 小児科学教室)

15:10 〜 16:00

[I-OR11-03] 左心低形成症候群における三尖弁輪の3D形態機能評価

齊川 祐子1, 安河内 聰1,2, 瀧聞 浄宏2, 武井 黄太2, 田澤 星一2, 内海 雅史2, 中村 太地2, 川村 順平2, 浮網 聖実2, 蝦名 冴1 (1.長野県立こども病院 エコーセンター, 2.長野県立こども病院 循環器小児科)

キーワード:Hypoplastic left heart syndrome, Tricuspid valve annula, 3D morphology

【目的】3次元(3D)心エコーを用いて左心低形成症候群(HLHS)の三尖弁輪について,3D形態と機能を検討すること.
【対象と方法】 Fontan術後のHLHS 11例(平均年齢9.9歳)(うち中等度以上の三尖弁逆流6例)と年齢を一致させた正常心(N群)11例(平均年齢9.8歳). iE33を用いて心尖部四腔断面から三尖弁の3Dデータを4-6 beatsのfull volumeで取り込み,Tom-Tec社 4D MV-Assessment 2.3を用いて弁輪の3D形態および機能をoff-line で解析した.拡張末期の弁輪形態と収縮期間中の弁輪形態の変化に着目し,評価した.さらに,HLHS群の三尖弁逆流の程度を,カラードップラで評価し,中等度以上と以下に分けて比較した.変化率は[100×(収縮末期計測値-拡張末期計測値)/拡張末期計測値]で求めた.統計解析は,EZR 1.33を使用し, p値が0.05以下を有意差ありとした.
【結果】拡張末期の弁輪形態については,三尖弁の弁口面積は, HLHS群がN群より大きかった (12.4±3.7 cm 2/m2 vs 7.6±1.8 cm 2/m2) (P<0.01).弁の高さ(Ann. height)やNON PLANAR ANGLE(angle)は,両群に差は認めなかったが,弁口面積当りのAnn. heightは,HLHS群がN群より低い傾向があった(0.45±0.16 mm/cm2 vs 0.62±0.24 mm/cm2)(p=0.107).
収縮期の最大弁輪移動距離は, HLHS群がN群より小さく (3.6±1.3 mm vs 11.3±2.2 mm)(p<0.001),最大弁輪移動速度も、HLHS群が N群より低かった(18.1±4.2 mm/s vs 58.4±8.1 mm/s)(p<0.001).
HLHS群の三尖弁逆流の程度は,収縮末期に三尖弁の angleが減少する症例が重症であった(変化率 重症 -1.77±2.49% vs 軽症 1.74±1.15%)(p=0.0173)
【結語】HLHSの三尖弁輪の3D形態は, 正常心に比べ, 弁口面積が増大し, 弁口面積に比べ弁の高さが低く, 弁輪の可動領域と弁輪速度が制限されていて弁の開閉運動に障害を生じやすい3D構造を示す.