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[I-OR12-01] 右側相同心に伴う総肺静脈還流異常の新生児期CT検査の有用性
Keywords:CT, 右側相同心, 肺静脈閉塞
【背景】右側相同心(RIH)は総肺静脈還流異常(TAPVC)を合併し, 肺静脈閉塞(PVO)を認める例は予後不良である. 近年は手術術式の改善や狭窄部へのステント留置で生存例が増加しているが,予後改善のために正確な肺静脈形態評価が不可欠である.一方,CT検査は空間解像度,時間解像度,被ばく量の改善により,新生児へ適応拡大されている.【目的】RIHに伴うTAPVCのPVOに対する新生児期CTの有用性について検討する.【方法】2013年~2016年の間に新生児入院したRIHのうち、胎児心エコーまたは経胸壁心エコーでPVOを疑われ, 新生児期CT検査を施行した症例を対象に診療記録,画像データーベースを基に胎児心エコー,経胸壁心エコー,CTの画像所見を後方視的に比較検討した.CT装置はSiemens社製SOMATOM Definition flashを使用した.【結果】症例は10例でCT検査施行日齢の中央値0(0-25),検査時体重は中央値3.1(2.4-3.5)kgであった.TAPVCは上心臓型7例(うちPVO6例),下心臓型(PVOあり)1例,心臓型(PVOなし)1例,肺静脈閉鎖が1例であった.全体のうち7例は胎児心エコー,経胸壁心エコー,CTとも画像所見が一致した.上心臓型の重度PVOの1例は胎児心エコー所見のみ垂直静脈の流入部位が異なり,上心臓型でPVOがなかった1例は全検査で垂直静脈の走行の評価が異なっていた.心臓型の1例は胎児心エコーでPVOはなく,出生後に経胸壁心エコーでPVOを疑われ,日齢25のCT検査で否定された.CTの撮影条件は,管電圧80kVp,心電図同期法4例,心電図非同期法6例で行い,総撮像時間2.5±0.36秒,造影剤量2.0±0.5ml/kg,実効線量1.2±1.1mSV,と低被曝・低侵襲で可能であり,鎮静,造影剤によるadverse eventも認めなかった.【結論】CT検査によりRIHの肺静脈の形態を正確に描出できた.胎児心エコーは出生後の肺血流増加に伴う変化予測が困難で,経胸壁心エコーは肺の含気が評価の弊害となる.CT検査は両検査の欠点を補完することができ,かつ安全にできる有用な検査である.