第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

画像診断

一般口演 12 (I-OR12)
画像診断 2

2017年7月7日(金) 16:05 〜 16:55 第5会場 (1F 展示イベントホール Room 5)

座長:市橋 光(自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科)

16:05 〜 16:55

[I-OR12-04] Atrio-pulmonary connection型Fontan術後右心房容量は、カテーテルシネ画像では過小評価する

高橋 辰徳1, 稲井 慶2, 谷口 宏太1, 椎名 由美1, 朴 仁三1 (1.東京女子医科大学 循環器小児科, 2.東京女子医科大学 成人先天性心疾患病態学研究講座)

キーワード:APC Fontan, 右房容積, カテーテル

【背景】atrio-pulmonary connection (APC) Fontan術後患者の右房容積のカテーテルシネ画像での確立された換算式は存在しない。【目的】APC Fontan患者のRA volume index (RAi)をカテーテルシネ画像(RAiCi), MRI(RAiM), CT(RAiCT)で比較しRAiCiの妥当性を検討する。【方法】2012年~2016年にRAiCi, RAiM, RAiCTをいずれも計測したAPC Fontan患者20例[21(13-43)歳]を後方視的に検討。RAiCiは正側2方向で撮影しGrahamのRV計測の式を使用(CCIP-310/W)。MRIは10mmスライスギャップなし非造影の水平断、CTは5mmスライス造影心電図同期水平断を用い手動トレースした(AZE Z400)。各モダリティ間の比較、血漿BNP値との比較、二検者による検者間誤差を検討した。【結果】中央値はRAiCa 69.0[33.0-172.0]mL/m2(以下単位略)、RAiM 82.4[39.0-202.6], RAiCT 85.0[47.3-227.1]。RAiCaはRAiM, RAiCTと比較し小さく算出され[RAiM=1.18×RAiCa(R=0.84), RAiCT=1.24×RAiCa(R=0.85)]、Bland-Altoman分析ではRAiCaと他2者で有意な比例誤差を認めた[vs RAiM: R=0.46(P=0.04) / vs RAiCT: R=0.52(P=0.02)]。BNP値とは3者いずれもよく相関したが、RAiMで最も相関係数が高かった[RAiCa: R=0.66, RAiM: R=0.74, RAiCT: R=0.71]。各値は二検者間でよく相関していた [RAiCa: R=0.91, RAiM: R=0.99, RAiCT: R=0.98]。【考察】シネ造影法において、Simpson法では容積を求める物体を楕円形の積み重ねと想定しているが、実際の右室は扁平であるためGrahamの公式ではSimpson法で得られた容積に係数0.649を乗じて補正している。一方APC Fontanの右房は水平断ではより楕円に近い断面をしており、この係数をそのまま乗じると過小評価する可能性がある。MRIの結果をgolden standardとすると、RAiCiの適切な係数は0.649×1.18=0.766と予想される。【結論】シネ造影法によるRAiはMRI/CTによる算出と比較して右房容積を過小評価する可能性があり注意を要する。