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[I-OR16-04] 2歳未満の僧帽弁疾患に対する外科的治療の検討
キーワード:僧帽弁閉鎖不全症, 外科的治療, 僧帽弁置換
【背景】僧帽弁閉鎖不全(MR)は、弁・腱索形態異常など成因に応じた外科的治療が必要となり、その治療法を検討した。【対象】2004年9月-2016年12月の間に心内膜床欠損を除くmoderate以上のMRを合併した21例(男:11,女:10)を対象とした。手術時年齢は1ヶ月-1歳6ヶ月 (平均7カ月)、体重は2.9-11kg (平均7.4kg)であった。手術はVSD:8例、急性MR:6例、先天性MR:2例、CoA、Marfan症候群、BWG症候群、IE 、ASD:1例であった。MRの手術介入例は19例で、IE 1例、Carpentier分類type1:8例、type2:10例、type3:1例であった。【手術】弁輪拡大の2例は手術介入しなかった。MRに対する手技は、cleft閉鎖や弁尖縫縮・人工腱索再建・弁尖切除を組み合わせて行い、後尖低形成はグルタルアルデヒド処理自己心膜による後尖延長を行った。MAPは18例に行い、全例Kay法を用いた。【結果】周術期死亡はなく、遠隔死亡は1例で、Marfan症候群の症例で肺炎により死亡した。再手術は3例であった。1例はCoAで、乳頭筋断裂による急性MRに対し人工腱索再建を行ったが、人工腱索が切れMRが増悪したため、術後3カ月にMVRを行い、paravalvular leakに対し再MVRを行った。2例はVSDで、1例はcleft閉鎖+Kay法を行ったが、術中MSを来したため、cleft閉鎖、Kay法の縫合を解除した。術後腱索断裂によりMR増悪し、術後10日に僧帽弁置換を行った。他の1例はshort chordaeに対し弁尖縫縮したが、moderate MSRとなり、術後8カ月に僧帽弁置換を行った。非介入例では、遠隔期介入はない。介入例の遠隔期(0カ月-8年4カ月、平均3年6カ月)の経胸壁心エコーでのMR gradeは、none 5例、trivial 9例、mild 8例、moderate 1例であった。【結語】小児期MRにおいては、moderate以上のMRを手術適応とし、弁形態に異常のない弁輪拡大は外科的介入を行っていない。弁・腱索の形態に応じてMAP・MVPを組み合わせて行い、弁形成が困難であれば、僧帽弁置換を行い、良好な成績を得た。