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[I-OR18-03] 先天性心疾患術後急性期の循環動態評価における、心筋トロポニンIの有用性
Keywords:心筋トロポニンI, BNP, 先天性心疾患
【背景】先天性心疾患(CHD)術後の心不全評価の指標として、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が臨床の場では広く使用されている。一方、心筋トロポニンI(cTnI)は心筋梗塞などで上昇するほか、心臓外科手術後の予後予測にも適用できるとされている。【目的】CHD術後急性期の患者において、TnIが術後のカテコラミン使用期間やICU滞在期間などを予測する因子となりうるかを検討する。【方法】2016年3月~2016年12月に、当院にて外科手術を行ったCHD患者77例に対し、cTnI、BNP、クレアチンキナーゼMB分画(CK-MB)がカテコラミン使用期間、心エコー図検査での駆出分画(Ejection Fraction; EF)、ICU滞在期間にどのような影響を及ぼすかを前方視的に解析した。【結果】cTnI、BNP、CK-MBのいずれも、術後1日目に最大値を示し、以降は7日目まで低下傾向を示した。術後1日目のcTnIは、カテコラミン使用期間、ICU滞在期間と有意な正相関を示した(カテコラミン使用期間: p<0.0001、ICU滞在期間: p<0.0001)。BNPでも同様の傾向を認めたものの、CK-MBでは認められなかった。また、cTnIとEFとの間には、有意な負の相関が認められた(p<0.001)。BNPにおいては、同様の傾向は認められなかった。カテコラミン使用期間、ICU滞在期間に対する多変量解析を行った結果においても、cTnIは独立した指標となりえた(p<0.05)。なお、2心室群(n=55)と1心室群(n=23)との比較において、BNPは1心室群で優位に高値であった(p=0.014)が、cTnIでは同様の傾向は認めなかった(p=0.51)。【考察】cTnIは術後急性期の心筋障害を反映しており、疾患形態に関わらずcTnI高値は術後EFの低下、カテコラミン使用期間の延長、ICU滞在期間の延長と有意な相関を示した。【結語】cTnIは、術後急性期の経過を予測する独立した因子となりうる。