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[I-OR19-05] 先天性心疾患新生児の生後1週間の血清クレアチニン値
キーワード:先天性心疾, 新生児, クレアチニン値
【背景】先天性心疾患は新生児期に手術を要するものが少なくない。術後急性腎障害(AKI)の診断基準には術前血清クレアチニン値(Cre)が含まれているが、新生児のCreは日齢による変化が激しく、新生児開心術後AKIの議論の足枷となっている。今回我々は先天性心疾患新生児(CHD群)と正常新生児(対象群)の生後1週間のCreを後方視的に観察したので報告する。【方法】2012年からの3年間に先天性心疾患により生後24時間以内に入院したCHD群159人と非器質性疾患により入院を要した対象群125人のCreを日齢7まで連日比較した。データの収集は手術およびカテーテル検査を受けた時点で中断した。低出生体重児、心疾患以外の手術を要する器質的疾患および腎疾患を要する症例は除外した。CHD群159人は二心室(BV群)および単心室(SV群)血行動態に細分化した検討も追加した。【結果】出生体重、出生週数、Apgar scoreには両群間に有意差は認められなかった。出生時CreはCHD群 0.65 ± 0.16 mg/dl, 対象群 0.67 ± 0.16 mg/dlと有意差はなかった。日齢1では両群とも0.8 mg/dl前後に上昇したが、日齢2に対象群が0.68 ± 0.20 mg/dlに低下したのに対しCHD群は0.76 ± 0.20 mg/dlと高値を維持し両群に有意差を生じた(p< 0.01)。その後は対象群のCreが順調に下がり続けたのに対し CHD群は日齢6までCre > 0.6 mg/dlを維持したため日齢7までCHD群のCreは対象群より優位に高い状態を維持した(p<0.01)。 BV群, SV群の出生体重、週数、APGAR score, 1週間のCreには有意差を認めなかった。【結語】多くの症例の蓄積と詳細な検討により先天性心疾患新生児のCre基準値設定は新生児AKIの診断および議論に大いに貢献すると期待される。