The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Free Paper Oral

集中治療・周術期管理

Free Paper Oral 20 (I-OR20)

Fri. Jul 7, 2017 4:55 PM - 5:45 PM ROOM 6 (Exhibition and Event Hall Room 6)

Chair:Muneyuki Taleuchi(Department of Intensive Care Medicine, Osaka Women's and Children's Hospital)

4:55 PM - 5:45 PM

[I-OR20-02] 小児心疾患術後早期におけるトルバプタン投与の安全性

浦田 晋1, 中野 克俊1, 野木森 宜嗣1, 林 泰佑1, 清水 信隆1, 三崎 泰志1, 小野 博1, 金子 幸裕2, 賀藤 均1 (1.国立成育医療研究センター 循環器科, 2.国立成育医療研究センター 心臓血管外科)

Keywords:トルバプタン, 腎機能, 小児心疾患術後

【背景】トルバプタンはアルギニンバゾプレシンV2受容体拮抗薬であり、水再吸収を行うアクアポリン2の尿細管腔への移動・発現を抑制することで電解質への影響なく利尿作用を示す。小児ではトルバプタン投与の有害事象が無いとの報告はあるが、小児開心術後の腎機能についての報告は稀少である。【目的】小児心疾患術後早期におけるトルバプタン投与の安全性を明らかにすること。【対象】2016年5月から12月に先天性心疾患術後72時間以内にフロセミド持続静脈内投与が行われ、かつトルバプタンが投与された症例を抽出し、投与前および投与後72時間の尿量、血清クレアチニン(Pcre)、血中尿素窒素(BUN)、血清ナトリウム(Na)、血清カリウム(K)の変化を検討した。Pcreは3月齢以上では年齢基準値の97パーセンタイル以上を、3月齢未満は投与前の1.5倍以上の上昇を、その他は月齢基準値以上を異常値とした。【結果】トルバプタン投与群は18例(男児7例)、月齢中央値3か月(0-30)であった。腹膜透析併用が4例であった。トルバプタンは初期投与量0.18(± 0.06)mg/kg/day, 最大投与量0.22(± 0.05)mg/kg/dayであった。尿量は15例(83%)で増加し、Pcreの上昇は1例(5.6%)のみであった。尿量増加が得られなかった3例のPcreの上昇はなかった。Na上昇例は2例(11%)であったが、いずれも投与前Na≧145 mEq/Lで投与後にさらに上昇した。K上昇例は認めなかった。【考察】成人では開心術後のトルバプタン投与は腎機能障害がなく尿量増加が得られることや腎血流の改善を示す報告があるが、本検討でもフロセミド持続投与中にトルバプタンを追加することで血清クレアチニン値の上昇なく尿量増加が得られた。Na値の上昇は投与前よりNa値異常を認めた2例であり、Na高値例は投与判断を慎重にすべきである。