第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演 20 (I-OR20)
集中治療・周術期管理 3

2017年7月7日(金) 16:55 〜 17:45 第6会場 (1F 展示イベントホール Room 6)

座長:竹内 宗之(大阪母子医療センター 集中治療科)

16:55 〜 17:45

[I-OR20-03] 小児胸骨正中切開術後縦隔洞炎に対する洗浄ドレナージ、一期的閉胸術の成績

小泉 淳一1, 猪飼 秋夫1, 近藤 良一1, 萩原 敬之1, 中野 智2, 高橋 信2, 小山 耕太郎2, 岡林 均1 (1.岩手医科大学医学部心臓血管外科, 2.岩手医科大学医学部小児循環器科)

キーワード:縦隔洞炎, 一期的閉胸, 胸骨正中切開

【背景】当院では小児胸骨正中切開術後縦隔洞炎に対し洗浄ドレナージ、一期的閉胸術を施行する方針としている。その成績を検討した。【対象】2007年から当院で施行された先天性心疾患1347手術のうち胸骨正中切開術後縦隔洞炎を発症した20歳以下の20例(発症率1.5%)を対象とした。【方法】手術は腐骨を含めた感染組織を可及的にデブリードマン。胸骨脆弱や欠損例には縦に胸骨ワイヤーをかけて補強。胸骨は通常通り胸骨ワイヤーで閉鎖。大胸筋をフラップとして死腔を補填し、筋層、皮下は吸収糸で閉鎖。抗生剤は起炎菌、感受性をもとに臨床症状に応じて2-4週間投与。【結果】対象月齢14か月(0-228)。循環動態は単心室群/二心室群5/15例。先行手術は全例人工心肺使用、術式は姑息術/修復術4/16例。心外人工血管またはパッチ使用8例。内訳はBTシャント3例、TCPC2例、右室流出路導管またはパッチ3例。心膜ePTFE補填15例。二期的胸骨閉鎖術DSCは2例。先行手術またはDSCからドレナージまでは15日(7-39)。起炎菌はMSSA8例、MRSE5例、MRSA3例、セラチア1例、E coli1例、不明2例。骨破壊の程度:なし2例、軽度11例、中等度3例、重度4例。胸骨補強症例は3例。大胸筋フラップ使用は18例。心膜ePTFE再補填は2例。術後抗生剤はバンコマイシン17例、クリンダマイシン7例、ゲンタマイシン3例、メロペン4例、テイコプラニン1例、モダシン1例。ドレナージ術後ICU滞在は3.5日(1‐27)。静注抗生剤投与期間は14日(9-25)。ドレナージから退院までは21.5日(11‐53)。死亡0例。縦隔洞炎再発は1例(心膜ePTFE再補填例)で再々開胸一期的閉胸で治癒。創し開2例でいずれも保存的に治癒。遠隔70.5ヶ月(12-117)の観察期間で死亡、再発無し。【結語】小児胸骨正中切開術後縦隔洞炎に対するドレナージ、一期的閉胸術の成績は心外人工血管、パッチなどの使用によらず良好であった。早期介入、徹底的デブリードマン、心膜補填物の除去が有効と思われた。