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[I-OR20-05] 人工心肺下乳児心臓手術後の急性腎障害(AKI)の危険因子、短期予後と術後循環作動薬・血管拡張薬のAKI発症予防効果に関する検討
Keywords:AKI, 乳児, 周術期管理
【背景】人工心肺下心臓手術後の急性腎障害(以下AKI)は、短期長期的な予後との関連が認められ、周術期の血管内容量・有効腎血流量の減少、虚血や尿細管障害等が原因とされている。特に乳児の糸球体濾過量、尿細管機能は未熟であり、障害を受けやすい。【目的】乳児の人工心肺下心臓手後の周術期AKIの危険因子、短期予後、術後治療に関して検討する。【方法】人工心肺下心臓手術後の乳児145例を対象とした。理学所見、検査所見、手術時間、術後循環作動薬・血管拡張薬の使用頻度、使用量を比較し検討した。AKIの診断は、pRIFLE分類及びAKIN(Acute Kidney Injury Network)の基準を用いた。【結果】AKI発症は、pRIFLE 110例(75.9%)、AKIN 95例(65.5%)であった。AKI発症に関しては、低体重(pRIFLE OR 0.66、P=0.001、AKIN OR 0.69, P=0.002)、大動脈遮断時間(pRIFLE OR 1.02, P=0.003、AKIN OR 1.02, P=0.001)が独立した危険因子で、更に重症度にも関与していた。腎代替療法や病院死は各々3例(2.1%)で、全例pRIFLE injury以上、AKIN 2度以上の重症群であった。病院死に関しては、両基準ともに人工心肺時間が独立した危険因子であった(OR 1.02、P=0.002)。術後水分量や周術期循環作動薬・血管拡張薬(dopamine、dobutamine、adrenaline、milrinon、olprinone、carperitide)とAKI発症に関しては、いずれも関連性はなかった。【考案】人工心肺を使用した乳児人工心肺下心臓手術後のAKI発症に低体重、大動脈遮断時間が関連していた。周術期AKIを予防する薬物療法の有効性は確認できなかった。AKI発症の危険因子を把握しつつ、周術期管理では適切な循環動態を保つことが重要と考えられた。