The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

成人先天性心疾患

Free Paper Oral 21 (I-OR21)

Fri. Jul 7, 2017 8:40 AM - 9:40 AM ROOM 7 (Seminar and Exchange Center, 2F The Music Studio Hall)

Chair:Mamie Watanabe(Department of Pediatric Cardiology, Kyushu Hospital, Japan )

8:40 AM - 9:40 AM

[I-OR21-01] 成人先天性心疾患患者の心不全に伴う急性腎不全の発症率と危険因子の検討

原田 元, 稲井 慶, 篠原 徳子, 森 浩輝, 朝貝 省史, 島田 衣里子, 清水 美妃子, 石井 徹子, 杉山 央, 富松 宏文, 朴 仁三 (東京女子医科大学 循環器小児科)

Keywords:成人先天性心疾患, 急性腎不全, 心不全

【背景】心不全患者において腎不全は高頻度に合併する。心不全で入院した患者の急性腎不全(Acute kidney injury ; AKI)の発症頻度は20~40%である。腎不全合併は心不全治療を困難にさせるだけでなく予後を悪化させると報告がある。【目的】成人先天性心疾患患者の急性心不全または慢性心不全急性増悪におけるAKIの発症率と危険因子を同定する。【方法】2015年1月~2016年10月の間に心不全のため入院した49人を対象とし診療録を後方視的に検討した。AKIは血清クレアチニン値が基礎値から1.5倍以上の上昇と定義した。対象をAKI群、非AKI群に分けAKI発症の危険因子を検討した。検討した危険因子は患者背景、心機能、腎機能、尿所見、入院後に開始した治療に関連した項目を検討した。【結果】AKIは11例(22%)に認めた。危険因子の検討ではNYHA3度以上(82% vs 44%, P=0.030)、推算糸球体濾過量(eGFR)<30ml/min/1.73m2(45% vs 16%, P=0.037)、血清クレアチニン高値(>1.3mg/dl)、シスタチンC高値(>1.6mg/l)、BUN高値(>25mg/dl)、尿酸高値(>8.7mg/dl)、Na低値(<135mEq/l)、がAKI群の危険因子であった。入院後に開始した治療ではラシックス静脈投与量が多い症例はAKI群に有意な危険因子であった(57mg/day vs 28mg/day, P=0.013)。尿中微量アルブミンはいずれの場合も危険因子にはならなかった。【結論】成人先天性心疾患患者の心不全におけるAKI発症頻度は過去の報告と同程度の22%に認めた。心不全の重症度、低腎機能、低Na血症、ラシックス静脈投与量が多い症例はAKI発症の危険因子である。