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[I-OR21-03] 成人先天性心疾患・重症心不全症例の手術成績―先天性心疾患センターの試み―
キーワード:ACHD, 重症心不全, 先天性心疾患センター
【背景】手術成績の向上や患者の高齢化に伴い、先天性心疾患成人患者は増加傾向にある。当院では小児循環器医・成人循環器医・心臓結果外科医による先天性心疾患センターを設立しそのような患者に取り組んでいる。【目的】近年の成人先天性心疾患・重症心不全症例の手術成績を検討すること。【対象】2007年1月以降過去10年の先天性心疾患・成人症例(18歳以上)90例のうち、重症心不全症例(NYHA IIIおよびIV)33例を対象とした(全90例のNYHA: I43,II14,III20,IV13)。男性16、女性17、手術時平均年齢は51.3±16.3歳。原疾患はASD14、TOF4、TGA4、単心室3(無脾症候群2)、AVSD2、先天性弁疾患2、ほか。術前BNPは267.5±165.6pg/dl、CTRは59.0±7.9%。これらに対し、Bidirectional Glenn2、re-central shunt1を除けば根治術を行った。ただし、ASDは全例弁手術も併せ行った。【結果】最大経過観察期間9.6年。早期死亡は2例(6.0%)、いずれも長期手術適応に悩み、全身状態悪化のためやむをえず行ったが、術後重度うっ血性心不全からMOF(failed Fontanに対するTCPC conversionおよび、ASD+二弁置換+Maze)。入院死亡は2例(6.0%)、bidirectional Glenn後の低酸素血症に由来する肺炎。遠隔死亡は1、re-central shunt後の肺出血。早期死亡と入院死亡を近接死亡として解析してみると有意なもの因子はNYHA IVおよび非根治術。なお、死亡5例以外の直近NYHAはI14,II9,III3,IV2と改善しており、平均BNP・CTRも63.0±26.1pg/dl、51.7±4.5%であった。【結語】成人先天性心疾患・重症心不全症例の手術成績を検討したが、NYHAIVおよび非根治術の成績は良好とは言えなかった。一期的フォンタンなど術後低酸素血症を避ける術式を検討すべきであろう。しかし、それ以外の症例は良好な改善を示しており、心不全進行症例については早めの外科介入が望ましく、そのために先天性心疾患センターの重要性は増加すると考えられた。